2024.03.26
取り組み事例
LIPNews 株式会社シーアールイー
【連載】第21弾・パート①:遊休資産を低投資で収益化!“まちなか倉庫”が物流を変える~物流インフラプラットフォームNews~
こんにちは! シーアールイー(以下CRE)マーケティンググループです。
かつて使用していた工場や作業場、今後、使用しない予定の所有不動産(遊休資産)の活用方法で、悩みはございませんか。
例えば土地が100坪程度の古い工場などの事業用不動産は、取り扱っている不動産業者も少なく、結果、売却以外の活用方法があることも提案されないまま、大切な資産を手放したというケースも少なくありません。
また、売却するにしても建屋を取り壊す場合には、かなりのコストがかかりますので、買い手のあてがない状況下では軽々しく処分に踏み切れません。
このような背景から、古くなった工場や作業場に対し何も手を付けられず、固定資産税ばかり嵩んでしまっていませんか。
実は、そんな“悩み”を解消し、初期投資を抑え、大切な資産を再び収益を生む物件へと生まれ変わらせる、方法があります。
そのキーワードとなるのが、CREが提案する「まちなか倉庫」です。
市街地にある小規模な工場や作業場を、“物流倉庫”へとリノベーションして貸し出す――。そんな「まちなか倉庫」こそが、これからの時代の最適解の一つとなると、私たちは考えています。
実際のCREにおける、「まちなか倉庫」の活用事例をご紹介いたします。
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約4年前に手掛けた事例で、事業主が使用しなくなった倉庫を賃貸用にリノベーションしました。工事等コストを約700万円かけ、工事直後から月々約350万円の収益を創出しました。その際、CREがマスターリースすることで、契約期間における空室リスクの懸念も解消し、長期収益の安定化を成し遂げました。
ただし、全ての工場や作業場が、このような運用に適しているわけではありません。立地や建築制限、賃貸ニーズなど検討すべき要件はいくつも存在します。
CREには、事業用不動産専門会社として60年以上の実績があります。また、小規模な物流倉庫についても活用のノウハウを長年積み上げてきました。昨年8月からは、資産活用提案の専門部署(資産活用グループ)を編成。直近3カ月間で約20件もの相談をいただいています。
資産活用グループで提唱する「まちなか倉庫」とは具体的にどのようなもので、なぜ今こそ注目すべきなのか。プロジェクトを進めるチームリーダー二人に、その可能性を聞きました。
<今回お話をお聞きした方>
株式会社シーアールイー
資産活用グループ第1チーム チームリーダー 松本 淳 氏
資産活用グループ第2チーム チームリーダー 蛯原 省仁 氏
<目次>
物流から生まれる、遊休資産活用の新たな可能性
―― すでに使わなくなった古く小さな工場や手狭な事業用地など、遊休資産の活用方法として、なぜ物流倉庫が一つの解になるのでしょう。
松本 淳 ー それを解説するために、まずは物流をとりまく現状からお話ししたいと思います。全体像としていえるのは、物流業界は現在活況であり、新規参入のプレイヤーが増えているということです。新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛やリモートワークの普及などを背景としてオンラインショッピングや通信販売の利用者が大きく増えました。それと足並みを合わせて宅配便の荷物量もまた急増し、物流倉庫に対するニーズも高まってきています。
蛯原 省仁 ー 確かに物流倉庫といえば郊外エリアに建つ大規模なものを連想しがちです。しかし、これまでもまちなかにある中型・小型倉庫は物流において重要な役割を果たしてきたんです。従来の物流においては、大都市の近郊に中心拠点を設けて、そこにいったん荷を集めてから各地の拠点に仕分けるという形が一般的でしたが、その際にも最終配送拠点としての役割を中型・小型倉庫が担ってきました。中型・小型倉庫とは、1棟当たりの面積が約100坪~2,000坪程度の倉庫を指します。
目立った建築ラッシュが起きているわけではないため、一般的にはあまりなじみがないかもしれませんが、中型・小型倉庫は非常に需要が高く、高稼働率を維持しています。
ある物流施設利用者へのアンケートでは約9割前後が今後の利用面積として1000坪未満を希望しており、また、7割超が施設を単独で利用できるシングルテナントを希望している、という結果が出ました。※出所:株式会社三井住友トラスト基礎研究所 「『物流施設の利用意向に関するアンケート調査』~調査結果~」(2017年11月14日)
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蛯原 省仁 ー その理由として、レイアウトなど使い方の自由度が高いことや、長期の契約が結びやすいこと、防犯体制を整えやすいことなどが挙げられています。
今後においても個人取引の増加やEC市場の拡大により、日用品など小型商品の取扱いの需要が急増していることから一度に大量に配送するというケースだけではなく、発送の頻度が高く小口化した商品を取り扱うケースに対応するため、エリア配送やメッシュ型配送を可能とする、効率的な配送拠点の配置が重要になります。小口荷物をいち早く消費者へと届けるには、郊外の大型拠点よりも、少しでも居住地に近い場所に複数の小拠点を設けるほうが適しているからです。人口の多い地域に張り付いた、小回りの利く中型・小型倉庫は、そうした需要にマッチした環境を備えており、今後の物流における課題の解決にも、大きな役割を担う存在になると考えています。
当社が管理する中型・小型倉庫は、物流のみならず、製造、中間流通、不動産・建設、小売など多様な業種からご利用いただいており、企業の集約・移転・増床、コスト削減などのニーズに対応しています。こうした市街地に位置する数十坪からの小規模な物流倉庫を私たちは「まちなか倉庫」と呼んでいます。
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物件数が少ないからこそ、参入チャンスがある
―― なぜ、小型の倉庫の数が増えていないのでしょう。
松本 淳 ー まずいえるのは、そうした小型倉庫を扱える不動産業界のプレイヤーが少ないということです。2000坪や3000坪以上の大型倉庫を手掛ける開発会社はいくつも存在しますが、住宅地などに小規模な物流倉庫を作り運営するノウハウを持ったプレイヤーはほとんどいません。物流会社としても、興味はあるけれどどこに相談していいかわからないはずです。
また、スケールメリットが効かせづらい小型倉庫は、大型倉庫に比べて開発コストが割高になってしまう傾向が強いですし、そもそも市街地でそう都合よく倉庫建設に適した空き地が出てくるわけでもありません。結果として、ニーズはあるのに物件数が増えないという状況が生まれているのだと思います。
そのニーズをなんとか拾うべく、近年は大型倉庫において、中を小さく区切って複数のテナントに貸し出すサービスがでてきています。しかし、共用だからこその規約や条件もあって、すべてを借主の自由にできるわけではありません。したがって大型倉庫の活用にも限界がありそうです。
そうした物流業界の事情にフィットし、宙に浮いたニーズを取り込む存在こそが、「まちなか倉庫」であり、稼働していない小規模な工場や作業場を物流倉庫へとリノベーションして貸し出す意義がここにあります。物件数が少ない今だからこそ、大いにチャンスがあるのです。
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――工場や作業場が、倉庫への転用に向いている理由はありますか。
蛯原 省仁 ー 物件ごとに条件が異なるため一概にはいえませんが、たとえば古くから市街地で稼働を続けてきた工場の場合、業務時間内の稼働音など、事業自体に対する周辺住民の理解が得られていることが多いです。物流倉庫として新たに活用した場合にも、周辺住民からの苦情の声はあがりづらいはずです。したがって、工場や作業場の跡地には自社で倉庫を自由に使える環境が整っている可能性が高く、それが借り主にとってのメリットといえます。ただし工場を倉庫に改修するには、消防法の問題などクリアすべきハードルがいくつかあり、一定のノウハウが必要になってきます。
ちなみに私たちは、「稼働していない町工場や作業場をもてあましている」という課題に対しては、物流倉庫としての活用という解決策をご提案していますが、それがすべてというわけではありません。仮に物流倉庫に向いていない物件であっても、たとえば更地にしたうえでその土地を私たちで借り受けるなど、さまざまな活用ノウハウを持っています。もし現在、遊休資産があるなら、それがどのようなものであれ一度ご相談いただければと思います。
パート②では、企業の遊休資産を収益化するCREの強みと、具体的な事例をご紹介します。