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【連載】第十弾:コロナ禍の中、アパレル企業がオムニチャネル化・EC融合を推進! ~物流インフラプラットフォームNews~ アルページュ、AMSとの共同でOMOの実践へ

こんにちは! シーアールイー(以下CRE) マーケティングチームです。春が来てようやくアフターコロナか…と思いきや、感染拡大「第4波」と落ち着かない日々が続いていますね。

昨年来のコロナ禍で、リアル店舗業界には苦しい日々が続いていますが、アパレル分野も甚大な影響を受けました。しかし迅速果敢にEC強化とオムニチャネル化を進め、EC事業の拡大を行っている会社があります。それが、今回取り上げる株式会社アルページュ。「アプワイザ-・リッシェ」「ジャスグリッティー」「リランドチュール」「マイストラーダ」「カデュネ」のレディス5ブランドを展開し、「女性を笑顔にする服」を送り続けるSPAファッション企業です。 同社がEC強化とオムニチャネル化を推進するにあたって以前から実践している施策の中でも、店頭にない商品を倉庫在庫からその場で注文し、直ちに宅配でお届けできる客注システム「プラムス・オーダー」が大活躍。ECに必要なシステム、サービス、物流までを一括提供するAMS社(CREの物流インフラプラットフォーム=LIP構成企業)をパートナーに、激動の2020年度を見事に乗り切ったのです。今回は両社の幹部に登場いただき、この間の苦心をじっくりお聞きします。ぜひご一読ください!

全店閉店で大ピンチ! ところが…

野口 ー 当社は全国の主要都市部に、ブランド単独店やブランドを集積した「アルページュストーリー」など、約50店を運営しています。これらのお店では昨年の4月、5月は全く営業できませんでした。その後徐々に回復し、11月くらいからお客様が戻り始めたのですが、当社としては50店舗のうち10店舗を閉めざるを得ませんでした。この年明けには動きが出てきて、2月までの緊急事態宣言下でも昨年と違い一定の来客は確保できるようになりました。でもコロナ前の店頭売上には至っておりません。

そのなかでも貢献してくれたのが、AMSさんの開発による客注システム「プラムス・オーダー」です。導入して3年目に入り、コロナ前からかなり実績も出ていたのですが、その利用頻度が一気に伸びました。また昨年6月くらいから、今までリアル店舗では購買していたけれどECで買ったことのないお客様へのアプローチを強化したところ、新規のEC顧客がかなり増えたため、利益構造はよくなりましたね。

―― 「健闘」と申し上げていい結果ですね。ある意味、逆に足腰が強くなったのでは?

野口 ー そうですね。採算の取れない店は早めに閉店し、ECを拡大して利益率を高めたことで決算の内容は改善でき、足腰が強くなったのは確かだと思います。

―― 一方、AMSさんはアパレル業界を軸に物流サービスを含めたEC事業のトータル支援サービスを提供しておられます。この1年、やはりコロナの影響は相当あったのでしょうか。

古田 ー 当社はEC事業のトータル支援サービスをはじめ、オムニチャネルソリューション、ECシステム、撮影サービスや物流サービスなどをご提供しています。今お話があったように昨年度はアパレルのリアル店舗ビジネスは大変厳しい環境に陥り、オムニチャネル化、EC強化のニーズが大きく高まりました。以前には数年がかりで進める計画であったのを、短期間で進めたいとの声を多くお聞きしました。そこで当社としてはスピード感をもってお応えすべく、この1年注力してきました。

物流サービスにおいては、当社のようなECを中心としたB2C倉庫の需要は急激に高まっていて、追加、また追加と探しているお客様も多いんです。当社でも中期計画で考えていたEC物流戦略を短期間に進め、生産性の向上やキャパシティを拡大してきたのでアパレル荷主のお客様に迷惑をかけることはありませんでした。

アパレル業界全体でEC強化が進んでいて、ECの物量自体は増えています。ただし先行き不透明なコロナによる事業撤退、ブランド縮小をされる企業も多くあり、本当に先が読めないんです。去年の4月くらいから、都度、お客様と話し合って時々の変化への対応をできる限りし続けるしかありませんでしたね。

―― まさに「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性/先行きが不透明で将来の予測が困難な状態)の時代」、ということですね。

ECサイト構築・運営からEC物流まで

―― そもそも両社の協業はどんなきっかけから始まったのですか?

古田 ー アルページュさんが2012年2月にサイトを立ち上げる時に、お取り組みを始めさせていただいたのがきっかけです。その準備期間からご一緒していますから、もう10年近くになりますね。

野口 ー 当社の自社サイト立ち上げに当たり、サイトの制作・運営から物流まで含めたEC事業のパートナー役を、AMSさんにお願いしました。普通はECサイトのベンダーと物流サービスベンダーとは別ですが、それを一緒にやってもらえるのが当社としてはメリットだったんです。

―― となると、「ささげ」(撮影、採寸、原稿/ECサイトで販売する商品の情報制作業務)も含めまるごと?……そうでしたか、私はAMSさんを当LIPニュースのインタビュー:物流インフラプラットフォームNews第五弾「自動化実現で “アパレル業界課題” 解決に大きな前進! AMS × APTのシャトル式自動倉庫」で見聞していたので、EC物流サービスのプロバイダとばかり思っていました。むしろ「EC支援ソリューションの総合プロバイダ」と言ってよい存在なのですね。

古田 ー この間、以前よりEC強化を進めてこられたアルページュさんは、売上全体に占めるEC売上の比率、つまりEC化率がコロナ前に40%に達していました。

野口 ー もともとEC事業の強化とオムニチャネル化を推進していたのですが、その矢先にコロナ、となりました。結果として、リアル店舗の売上が下がり、ECが拡大したことで、2020年度のEC化率は6割に達した時もありました。しかしこれは一時的なもので、今期は店舗売上が戻るので、前期よりEC比率は落ちるかと思います。

―― 経産省の調査によると、2019年度の日本全体のEC化率は8.9%でした。それが「コロナイヤー」の2020年度は、一足飛びに10%前後に達するのではないかと言われます。そうなるとEC強化、オムニチャネル化は当面アパレル企業の最優先課題になる。両社のパートナーシップでこの課題にいち早く対応されているのは、素晴らしいことですね。

サイトを毎週更新、インスタライブも開始

―― このコロナ禍の中で両社はどんな取り組みを進め、どんな成果を上げてこられたのか、もう少し具体的に教えてください。数年分の施策を一気に進められたようですね。

野口 ー 当社の情報発信メディアであるアルページュの自社サイトを、お客様はいつも見てくださっています。店舗に来ていただけないとなれば、そこでどんな情報をどう発信するかが一番重要と考え、早急に施策を練りました。

今まで当社サイトでは、5つのブランドそれぞれ月に1回、著名なモデルさんを招くなどの企画を作って発信していました。まず、それを月4回、毎週に増やしたんです。その企画に合わせて商品も変える。新商品をサイトで見せるとアクセスが上がり、売上の拡大につながりました。

商品企画・デザインも自社で行っているので、企画を増やす分だけ内部業務的には忙しくなりましたが、新鮮な情報をたくさん出さないとアクセス回数、訪問顧客数、売上が増えません。企画する品番数自体はそう変わらないのですが、毎週企画内容を変える…ある週は「通勤」のファッション、次の週には「リモートワーク」に特化した特集…とテーマを決めて作っていく。それを紹介する機会を毎週に増やしたということです。

―― AMSさんとしてはこの動きにどんな支援を?

古田 ー EC事業の拡大に伴いブランドコンテンツの幅、情報発信頻度を大きく高めたいとのご要望でしたので、体制を強化させて頂いたり、EC事業強化/オムニチャネル化にあたって、より顧客体験価値を上げるためのシステム開発に注力してまいりました。

―― アルページュさんの自社サイトに顧客を誘引するための手段は何になるのですか?

野口 ー 登録者のお客様に対してはメルマガや、アプリのプッシュ通知ですね。メルマガ回数も増やしたかったので、AMSさんにも体制強化をお願いしました。

サイトでの情報発信以外に、もう1つ強化したのはSNSの活用。インスタグラムでライブ動画の発信を開始したんです。大体はお店からライブ中継して新商品や着こなし方などをご紹介し、お客様からリアルタイムで寄せられる質問にその場でお答えしていきます。サイトで新商品を上げた後にライブで分かりやすく紹介する、と言う流れです。それを店舗に来て買うのかECで買うのかは、お客様が選択されます。

―― なるほど~、それは面白そうですね!

客注システムの売上が50%増!

―― そして大活躍しているのが、「プラムス・オーダー」なんですね?

野口 ー 3年前に導入した「プラムス・オーダー」は、お客様に店に来ていただいたが、欲しい商品の店頭在庫がないという時、EC在庫から引き当ててご注文いただける客注の仕組みです。去年は店舗閉鎖などで生産量を抑えたので、店舗に置く在庫がどうしても少なくなる。そこで足りなかった分を倉庫の在庫で引き当ててお売りする……。コロナ前から使っていたのでスタッフもタブレットの操作や接客に慣れており、作業は3分で完了と、今まで以上に有効活用できました。売り逃しの機会損失を防ぎ、店のバックヤード在庫も削減できる効果があります。

―― それがAMSの運営する倉庫の在庫に引きあたり、ピッキング、梱包して出荷するわけですね。お客様のお宅に届くリードタイムはどれくらい?

古田 ー 在庫があれば即日出荷できるので、近県なら1日、遠方でも2日で届きます。宅配会社のリードタイムと同じですね。

野口 ー 昨年は導入2年目でかなり数字が伸びていましたが、去年はそこからさらに50%は伸びましたね。

―― すごい! それは店舗の売上か、EC売上かどちらに計上? EC導入で店舗部門とEC部門が売上の取り合いをするケースもあるようです。評価の仕方が難しくないですか?

野口 ー 店頭での客注は店舗の売上になります。評価については、インスタライブからECで売れた場合の店の貢献度、スタッフのコーディネートをサイトに載せてEC売上が上がった貢献度などもきっちり評価しています。お客様に人気のスタッフも各ブランドに数人おり、インスタライブの翌日、その店員を目がけて来店されるお客様もいらっしゃいますね。ライブは去年の年明けから始めていたのを計画的に全ブランドに拡大したのですが、効果を実感しています。

古田 ー ご指摘の通り、店舗とECの壁は一般的にはあるんです。でもアルページュさんはトップの経営目線で施策を決断し、社内で実際に動かしていく際、啓蒙を含めてきめ細かくやられていて齟齬がありません。その点、様々な取組のスピードがとても早いです。

―― アルページュさんのサイトを拝見すると、野口麻衣子社長がメッセージで「アルページュの基本理念である『凛とした美学』とは、私たちのこうありたいという姿勢を表したもの。『凛とした美学』は、しなやかさ×たくましさ、楽しさ×厳しさがあってはじめて成立する…」と語っておられますが、今のご指摘はそれを裏打ちするものに思えます。

「ライブコマース」も導入でさらに前進!

―― 最後に、「アフターコロナ」を見据えたこれからの展望や計画をお聞かせください。

野口 ー 2つあります。まず「ライブコマース」。テレビ通販のジャパネットさんみたいに生番組を配信しながら、その場でECで売る仕掛けです。これは今期早々にやりたい。現在のインスタライブは商品紹介にとどまり、その場で売ることはないんです。メディアとしては自社サイトを使い、これもAMSさんのサポートを得て一緒にやります。当社は中国では「Tモール(アリババグループ)」で販売してまして、実はライブコマースもやっているんです。でも日本ではまだだったので、これでEC売上をさらに高めつつ、リアル店舗での売上拡大にもつなぎたいと思っています。

―― 店舗とECの在庫は見える化し、リアルタイム共有されているわけですね。

野口 ー ええ。当社内で店舗とECの在庫が見える化できているだけでなく、店の在庫情報は事前にお客様が見えるようになっていて、せっかく店に来たのに在庫がなかった、というお客様体験を損なう機会ロスを防げるようになっています。在庫状況をお客様にも開示しているのです。そこにもう1つ、いまはじまっているのは店舗在庫が見えるので、それを取り寄せてECでも売れるようにするサービスです。

―― 店になければEC在庫が買えるだけでなく、EC在庫がなければ店の在庫も買える……文字通り、リアル=オフラインとオンラインの融合ですね。オムニチャネルを超えた、OMO(Online Merges with Offline)の実践例になるのではと思います。在庫という物理面でも販売の仕掛けでも、ECとリアルを一体化した、いわば「ニューリテール」ですね。

ところでAMSさんのEC倉庫では、LIPニュースで紹介されたようにシャトル式自動倉庫「HIVE」を、やはりLIPチームの一員であるAPTさん経由で導入し、作業効率を高めておられます。その後の調子はどうですか?

古田 ー 導入して1年ですが、ピッキング、棚入れ作業の効率は大幅に上がりました。コロナによる作業量の波動も吸収してくれ、残業や動員をかけなくても対応可能になっています。生産性は以前の1.5~2倍くらいにアップしています。

今後もEC拡大の流れと並行して、人手不足の傾向は続くでしょうから、コロナ以後も自動化・機械化は進めていきます。物流拠点のキャパシティが不足するようなら、CREさんの協力を得て倉庫の拡大も考えたいと思っています。

野口 ー 去年はコロナでできなかったことを、今年は実現していきます。お店から発信するイベントを増やしたいですね。当社で起用している著名タレントやモデルに来てもらい、ライブを開く……リアルにお店に来て体験できるのがECとの違いで、リアルでしかできないことをやっていきます。それがECの拡大にもつながるはずです。

古田 ー OMO、オムニ対応ではまだ答えが見えていないサービス、やってみないと分からないこともあります。アルページュさんと一緒にトライし、フィットするか否かを見極めつつ、アルページュさんの課題の解決を目指しつつ、新しいサービスの実現を支えていければと思います。当社はアパレル業界の多数のECサイト構築を受託し、業界の様々な情報の取得や研究も日々行っておりますので、アルページュさんにフィットする、どこよりも良いサービス提案をしていきたいですね。

―― 当面の目標は?

野口 ー 今期はリアル店舗の売上数字が上がっても、「EC化率50%」をぜひ達成したいです。

古田 ー すぐにも実現したい構想がいくつもありますが、まずはお客様がオンラインで店舗での商品試着を予約できるサービスを、夏までには開始したいと考えています。この時、店舗のプラムス・オーダーのアプリがお客様と店舗スタッフをオンラインでつなぐ情報端末として機能するようにしたい。取り置き依頼、ネット在庫の取り寄せなど、スタッフに伝えるべきお客様の要望があれば、この端末を経由してつなぐ仕組みです。

野口 ー 試着予約が入ったとタブレットに伝わると、スタッフから「お待ちしています」のメールが出せるなど、双方向コミュニケーションのハブにしていきたいんです。今期の前半では実現する予定で、将来的にはその店から他店舗にある在庫も買えるようにしたいと思っています。

―― 2020年度はアパレル・ファッション業界にとって本当に厳しい1年でしたが、両社は協業で健闘し抜いたうえで、災いを転じて福となし、リアルとECの融合をさらに深める「ニューリテール」を築き上げる、未来の基盤を構築されたのではないかと感じます。

本日はありがとうございました!

企業①株式会社アルページュ
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執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

L-Tech Lab
代表 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。83年流通研究社入社、90年より月刊「マテリアルフロー」編集長、2017年より代表取締役社長。2012年より「アジア・シームレス物流フォーラム」企画・実行統括。06年より東京都中央・城北職業能力開発センター赤羽校「物流の基礎」講師。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える―メーカー・卸売業・小売業・物流業 18社のケース」(白桃書房、共著)、「物流センターシステム事例集Ⅰ~Ⅵ」(流通研究社)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。2017年より大田花き株式会社 社外取締役(現任)。2020年6月1日に独立、L-Tech Lab(エルテックラボ、物流テック研究室)代表として著述、取材、講演、アドバイザリー業務を軸に活動開始。同6月より株式会社日本海事新聞社顧問、同後期より流通経済大学非常勤講師。

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