コラム

LIP NEWS

塚本郵便逓送株式会社  株式会社はぴロジ  株式会社シーアールイー 

【連載】第八弾:三大都市圏に翌日配送! 富山の強み満開で 「出荷量倍増」支える新物流拠点に着工 ~物流インフラプラットフォームNews~ 塚本郵便逓送様の取り組み事例[パート②/BTS倉庫開発編]

こんにちは! シーアールイー マーケティングチームです。
あっという間に12月を迎え、お忙しい日々を過ごしているかと思いますが、お体にお気を付けください。

今回の連載インタビュー第八弾は、塚本郵便逓送株式会社(塚本雅彦代表取締役)のEC物流事業拡大事例[パート2]をお送りします。

同社はCREの子会社である株式会社はぴロジ(旧:株式会社ブレインウェーブ、園田有希生代表取締役社長)と協働し、業務のデジタル化と同時に、物流シェアリングプラットフォームのコアシステムである「ASIMS(アシムス)」に提携倉庫として参加。事業を10倍以上に急拡大させ、「神対応」で見事捌いた……という顛末を前回ご紹介しました。

しかし今後も取扱量の拡大が見込まれ、自社倉庫ではスペースが不足することが明らかに。
そこで同社は、はぴロジの親会社であるCREからBTS型倉庫の開発提案を受け、東名阪いずれにもアクセスが良く風光明媚な富山の地に、自社物流センターを新設置することになったのです。新センターはこの12月にいよいよ着工し、来年6月に稼働開始を予定。その経緯と明るい将来展望を、お2人とCRE資産活用事業部の松本 淳 氏に伺っていきます!

関東にも関西にも中部にも、好アクセス!

――塚本社長、自社の新センターを開設するにあたって、CREとプロジェクトを進めようと決めた経緯はどんな具合でしたか?

塚本郵便逓送・塚本社長 ー 園田社長からCREさんを紹介いただいて担当の方のお話を聞いたのですが、それならお任せできるな、と早い段階で決めてしまったように思います。だから実は、他社の話は聞いていないんですよ。

――え、ほんとですか?

塚本 ー はい(笑)。倉庫を新たに作るなら、自社で建てるか、物流不動産の開発案件に乗るか、という選択肢になるのですが、富山には当社のオペレーションに合致する賃貸用物流施設が見当たりませんでした。私としては初めから「自社で作る」ことは考えていなかったんです。なぜなら、立地探しや設計などの付帯的な業務に手間取るよりも、本業である物流にフォーカスし、もっと注力したかったから。 「富山で」「EC物流専用の倉庫を」という希望だけは挙げましたが、センターの構造や仕様など細かな点についてもプロ集団であるCREさんに委ねました。

1棟目が来年竣工しますが、これで終わるつもりはありません。これから2年で出荷件数を倍増させる計画で、続いて2棟目、3棟目とスケールアップしていく構想なので、いずれにしても自前ではとても追い付かない。実現に向けて迅速確実にステップを進めていくために、それを支えてくれる実績とノウハウをもつCREさんとぜひ提携したい、と考えたんです。

――なるほど、2年で倍増とはすごい勢いですね! 一方で松本さん、CREはそうしたご要望に応えてマスターリース事業を通して塚本郵便逓送さんと協業し、BTS型倉庫を開発するわけですが、今回が富山への初進出になるとのこと。開発を決めたポイントは?

CRE・松本 淳 ー 当社は物流インフラプラットフォーム(LIP)事業を進める中で、はぴロジさんの物流シェアリングプラットフォームとの連携で拡大に弾みをつけているのですが、今回は園田さんに塚本郵便逓送さんを紹介いただきました。すぐに塚本社長の構想を伺って、将来の事業拡大の可能性にまず魅力を感じました。

一方で「富山」と聞いて、これまで当社では展開していなかったエリアだけに、塚本さんに話をお聞きして、自分でこの立地の有利さを理解することから始めました。その上で社内に対し、富山の魅力を伝えるために資料を用意するなど工夫して共通認識をつくり、投資決定を得た、という流れです。

――塚本さん、EC物流という業態にとっての「富山の魅力」とは何でしょうか?

塚本 ー 日本地図を広げれば、富山がほぼ「日本の中心部」に位置していることが分かると思います。東・名・阪という3大都市圏に対し、すべて300km前後の距離にあるのが何よりの立地的な強みですね。日本の核となる需要地のお客様に対し、どこにも「翌日配送」の短リードタイムが実現可能というエリアはそうありません(図①、②)。日本海側では北陸、その中でも富山が最適な位置にある一方、太平洋側では静岡があります。しかし災害リスクを考えたとき、太平洋側には台風のほか、南海トラフ地震と津波の可能性が指摘されています。その点、富山はBCP観点からも自然災害のリスクが非常に低いという特徴があるのです。

この立地的優位性は郵便料金にも反映されます。関東の倉庫から関西向けだと、ゆうパックの「第2地帯」となって料金が上がるのに対し、富山発なら名古屋はもちろん、関東も関西も「第1地帯」となるので割安な料金で送れる。物流コストも抑えられるのですから、富山はEC物流拠点の立地として、荷主さんにとっても大きな魅力をもっていると思います。

図① 富山は「日本の中心部」に

図② 東名阪から約300kmの地

災害が少なく道路網にもアドバンテージ

松本 ー 私は塚本さんにあれこれ教えていただいたり調べたりして、検討用資料には富山の立地優位性をこんな風にまとめました。

① 災害リスクを考慮すると富山にアドバンテージ(計画地周辺は今後30年間に震度6以上の揺れに見舞われる確率が0.1%未満=防災科学研究所調べ/降雪も近年は大幅に減少、その他自然災害による被害額も少ない)。

② 日本郵便は民営化以降、ロジ機能をもった新拠点を全国に16か所構築してきたが、中でも富山西郵便局は立地優位性を重視し、2011年にいち早く設置された。

③ 富山県は道路整備率が日本一で(国土交通省「道路統計年報」)、関西への北陸自動車道、関東への上信越道が全線4車線、中京圏への東海北陸自動車も全線4車線化に近々着工。

④ 建設地の第2期呉羽南部企業団地は北陸自動車道・富山西IC至近で、富山西郵便局にも近い好立地でありながら、土地価格は首都圏等の対象地と比較して圧倒的に安い。

……などなどです。実は当初、社内でも前例のない富山進出に疑問を持つ声があったのですが、こうしたメリットが理解され、塚本郵便逓送さんの急成長の展望と合わせて案件の優位性が高く評価され、初進出が決定されました。

塚本 ー センターからは日々、日本郵便さんはじめキャリアの配送センターに出荷品を持ち込むので、各社の最寄り拠点との距離が非常に重要です。翌日配送品なら当日14時に届いた商品を仕分け・梱包して17時までに届けなければなりませんから、まさに時間との勝負。呉羽南部企業団地は、一番物量が多い日本郵便さん(富山西郵便局)にはわずか5分、佐川急便さんの拠点にも約10分と近いので、とても良い立地を選んでいただけたと感謝しています。

EC物流とユーザーニーズに特化したBTS倉庫

CREがBTS開発中の塚本郵便逓送新センター外観イメージ

――松本さん、今回は塚本郵便逓送さんの要望を受け、CREがEC物流に特化した物流拠点を開発するとのことですが、一般の倉庫との違いやこだわりポイントは何でしょう?

松本 ー 一般のマルチテナント型倉庫の場合、「貸し手の意志」で誰でも使える汎用タイプとして作るのに対し、今回のBTS倉庫では「借り手の目線」で、最低限の汎用性は残しつつも、可能な限り使い方に合わせて作れるのが大きな違いです。普通ならより多くの量を保管でき、大型車が取りまわせ、重い貨物にも対応できる床荷重、開口部などの倉庫設計を考えるでしょう。

それに対して今回はポストイン商材のEC型倉庫という明確な目的があるので、健康食品など軽い商品を頻繁に、いかに効率よく出し入れし回転率を上げられるかに集中しました。また働く人の数も多いので、雇用を確保できる立地や、空調など現場の環境も重視しました。

またご要望では、従来倉庫と比較すると倉庫面積に対して事務所面積が大きいことを重視しました。当初プランでは、保管スペースを最大限確保するために事務所を別棟で計画していたのですが、「事務所と作業スペースとの行き来・アクセスが重要」と分かり、保管スペースを多少調整して、別棟ではなく倉庫内に事務所を設置するプランに変更しました(延床面積2180坪のうち、事務所約110坪)。

塚本 ー 自動化・デジタル化が進んでも、やはり物流は人で支えられる仕事で、人が集められる会社が生き残る。
人が配置される倉庫スペースと事務所スペースの動線、アクセスの向上を図ることで、現場間での円滑なコミュニケーションを支える環境を作ることを強く意識しました。
BTSでEC特化型だからこそ、当社の要望通りのレイアウトにできたのだと思います。当社が求めた内容で実現されなかった点は、1つもありません。

松本 ー 塚本さんのお話通り、建物は当社が責任もって開発することで、本業に専念していただきたいと考えました。物流施設開発はCREがリードし、塚本郵便逓送さまには新センタ―での運営構想の実現に向けた取り組みに集中頂く環境をご提供することで、今後の事業拡大に少しでも役立てたのではと思っています。

新拠点と物流シェアリングプラットフォーム活用でさらなる事業展開へ

――さて園田さん、新センターは御社の物流シェアリングプラットフォーム「ASIMS」に連携し、提携倉庫として活躍を開始することになりますね。

はぴロジ・園田社長 ー 塚本郵便逓送さんは当社のASIMSを導入して倉庫のデジタル化を進められると同時に、(パート1で)先述のように、クラウドシステムで全国の提携倉庫をネットワーク化し、あたかも1つの巨大な物流網のようにコントロールできるバーチャル倉庫(VoW;Virtual One Warehouse)を成す「物流シェアリングプラットフォーム」にパートナーとして参加いただいています。物流リソースとして北海道から九州まで、他社の営業倉庫も互いにシェアして活用しあえる仕掛けで、これによって塚本さんのEC物流事業が大きく拡がっていることは嬉しい限りです。

通常の物流センター新設であればフロントとのつなぎやOMSとの連携など、多大なシステム投資が必要になるところ、ASIMSなら初期投資が不要なので、スピーディーに事業を開始できます。連携倉庫の他社のWMSともつなげられるので、拠点は分散していても在庫の一元管理が可能です。荷主が変わったりWMSが更新されても、ASIMSがあればオペレーションは変えずに済む。2025年の「システムの崖」(※1)に向かって必要になる、物流システム投資を抑える武器になると思っています。

――最後に塚本さん、今後の事業拡大への展望をお願いします。

塚本 ー 目標だった自社倉庫構築が、CREさんとの提携でいよいよ実現します。 まず当面の目標は、この1棟目の倉庫を満床にすることです。実は当社の人材採用活動で、すでに提携効果が出ているんです。夏から目標80名で採用活動を始めてしばらくは伸び悩んでいたのが、HPやFacebookで新倉庫のパースを告知したところ、いくつも反応がありました。従来の倉庫の作業現場環境はあまりよくなかったのですが、新倉庫は県内でも1、2を争う良い環境にする予定です。自動化・デジタル化が進んでも、やはり物流は人で支えられる仕事で、人が集められる会社が生き残る。

私としてはこの機会に、一段とIT化とオートメーション化を進める考えです。新倉庫で今、考えているプロジェクトが、1つのスパン(400坪)を「はぴロジルーム」とかにして、当社のチャレンジを集約し、見学もできるショールームみたいな空間にすることです。そこでは全員が「はぴロジのTシャツ」を着たりして(笑)、iPadで在庫管理をし、自動梱包機までシステマチックな作業を行っている……。将来的にはロボット化も考えていて、学生さんなら「物流って面白そうだ、やってみたいな」「こんなお洒落な物流センターが富山にあるんだ!」と感じてもらう。そしてもちろんお客様に見てもらうことで、新規顧客の獲得につながればと思っています。
こんなチャレンジもBTS倉庫でなければできなかったこと。竣工を心待ちにしています。

――「はぴロジルーム」とは素晴らしい。拝見できる日を楽しみにしています! 

※1「2025年の崖」
複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや我が国の経済の停滞などを指す言葉

BTS開発中の物件概要

所在地富山県富山市境野新124番1 他
敷地面積16,644.24 ㎡(5,034.88 坪)
用途地域工業地域
建物構造鉄骨造平屋建
延床面積7,209.86 ㎡(2,180.98 坪)
着工2020年12月
竣工2021年6月
リリース情報EC物流企業向けBTS型倉庫開発着手に関するお知らせ
企業①塚本郵便逓送株式会社
企業②株式会社シーアールイー
企業③株式会社はぴロジ
お問い合わせ先お問い合わせはこちらから

執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

L-Tech Lab
代表 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。83年流通研究社入社、90年より月刊「マテリアルフロー」編集長、2017年より代表取締役社長。2012年より「アジア・シームレス物流フォーラム」企画・実行統括。06年より東京都中央・城北職業能力開発センター赤羽校「物流の基礎」講師。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える―メーカー・卸売業・小売業・物流業 18社のケース」(白桃書房、共著)、「物流センターシステム事例集Ⅰ~Ⅵ」(流通研究社)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。2017年より大田花き㈱ 社外取締役(現任)。2020年6月1日に独立、L-Tech Lab(エルテックラボ、物流テック研究室)代表として著述、取材、講演、アドバイザリー業務を軸に活動開始。同6月より㈱日本海事新聞社顧問、同後期より流通経済大学非常勤講師

~物流インフラプラットフォームNews~ バックナンバー

第一弾亀山社長に聞く! 新しいCREグループが目指す未来とは!?
第二弾庫内作業の人手不足でお悩みの方必見! より多くの人員をより簡単に
第三弾過度な土壌汚染対策コストを圧縮し、物流適地の供給を推進する
第四弾冷凍・冷蔵業界の方必見!トラック保有台数の最適化でコスト削減を実現
第五弾自動化実現で “アパレル業界課題” 解決に大きな前進!AMS × APTのシャトル式自動倉庫
第六弾SmaRyu Postで実現へ! ”誰でも簡単に配達できる仕組み作り” への取り組み  CBcloud × 日本郵便の事例をご紹介
第七弾「提携倉庫」でデジタル化とシェアリング、 急増するEC物流需要に神対応!  塚本郵便逓送様の取り組み事例 [パート①]

ページの
先頭へ