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【連載】第6弾「SmaRyu Postで実現へ! ”誰でも簡単に配達できる仕組み作り” への取り組み  CBcloud × 日本郵便の事例をご紹介」 ~物流インフラプラットフォームNews~

こんにちは。シーアールイー マーケティングチームです。
残暑厳しい日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
くれぐれもご自愛くださいませ。

さて、今回の物流インフラプラットフォームNewsでは宅配クライシスの解決に挑むCBcloudのSmaRyu Postについて、ご紹介したいと思います。
CBcloud株式会社 執行役員 皆川 拓也氏、実際に導入をされた日本郵便株式会社のオペレーション改革部 部長 五味 儀裕氏と係長 石川 憲氏をお迎えし、導入の背景や導入の効果、メリットはもちろん、導入の時の苦労話など、SmaRyu Postについて幅広くお話しいただきました。

EC拡大に伴う宅配現場の課題解決・人出不足にお悩みの方必見の内容となっておりますので、ぜひお読みください!

はじめに
シーアールイーが提供する「物流インフラプラットフォーム」に参画いただいているCBcloud株式会社の “SmaRyu Post” とは、配送現場の大きな課題であるアナログかつ非効率な業務を解決することを目的に、スマートフォン上で荷積み・配送ルーティング/ナビゲーション・配送ステータス管理・電子サインなど一連の機能を一気通貫で提供するシステムです。

経路・荷姿を考慮した車内の荷積み位置指定や配達先との個別事情や関係性など、熟練ドライバーのノウハウを継承する機能を搭載し、初心者のドライバーや担当者でも滞りのない業務を実現します。

新型コロナウィルスで浮き彫りに。物流業界の課題や問題点

Q – 今年は新型コロナウイルスにより、物流業界にもその影響が大きく出ているかと思いますが、課題や問題点は?

CB 皆川 ― B to Bの配送を主力としているPickGoは、毎月順調に成長をしていましたが、新型コロナウイルスの影響で、商業施設や飲食店などへの定期的な荷物が減ってしまい、配送マッチングに影響が出ました。その状況下で、ドライバーに「どういう形で別の荷物を提供できるか」という課題が浮き彫りになりました。私たちは、ドライバーの環境改善や働きやすさを一番に考えていますので、ドライバーに「どういった仕事をやりたいか?」をアンケートで聞き取りした上で、to C向けのアプリ「買い物代行」を4月末にスタートさせました。

CBcloudの強み ~ スピード感のある製品リリースとブラッシュアップ ~

CB 皆川 ― 私たちの強みは、時間をかけて製品を100%の状態でリリースする、というよりは、まずは動くものを作ってリリースし、そこから日々、改善を行い、より使いやすい製品にしていくところにあります。先ほどお話した買い物代行アプリは、約1か月半でリリースしました。これは今日お話するSmaRyu Postにも通じるところです。

日本郵便のwithコロナ ~ 拍車がかかるEコマース物流 ~

JP 五味 ― コロナの影響は当社にとって良い部分・悪い部分両面ありました。
コロナ前に比べ、急激にEC需要が伸びたので、ゆうパックやゆうパケットの取扱いが今まで以上に増えました。併せて、皆さんご存じの厚生労働省から差し出される布製マスクの全戸配達や特別定額給付金関係の取扱いなど、郵便ベースのやりとりが想定以上に多くなったため、収入はプラスとなりました。

ただ一方で、マイナスの要素もありました。コロナ感染拡大によって、世界中の飛行機が止まってしまい、国際郵便は、通常の約3分の1程度と非常に落ち込みました。

私どもが言うのも変ですが、今回のコロナを機に、官民それぞれでデジタル化が進み、郵便に依存したアナログでのやり取りは大きく減っていくとみています。
当社の基本戦略でもありますが、郵便の減少を見込んだ上で、ECの荷物獲得に力を入れなければいけないと思っています。そのためには、「非対面非接触」というのが、一つのキーワードになってきます。置き配やロッカーでの受け取り、投函型のゆうパケットなど、より利便性を上げるような商品・サービスにも注力していきたいと思っています。

導入の背景は、”誰でも簡単に配達できる仕組み作り”の必要性

Q – 今回、SmaRyu Postを導入するに至った課題や経緯は?

JP 五味 ―EC拡大で宅配便は確実に伸びています。私どもは、この荷量の変化に対応したネットワークを維持する観点でも、企業自体が存続する上でも、ECの成長をしっかり取り込むことが、企業の命題です。

一方で、宅配の働き手は減少しています。これまでのような、フルタイム勤務という働き方だけなく、半日だけ働けるよという女性の方、バイトや、ギグワーカー的に短時間で働くという方、退職後の高齢者の方等にご活躍いただける環境になってきていると思います。

ただ、こういった方々に働いてもらうには、『誰でも簡単に配達できる仕組み作り』に取り組まなければ、EC中心に成長させるための当社の事業課題と、それを担う働き手のマッチングが難しい。そのためには従来型の「育成に時間がかかる・属人的な業務オペレーション」自体を変えなければいけないのでは?という課題認識がありました。

その中で、CBcloudさんと出会う機会があり、色々な形で「どんなことができるだろうか?」というお話し合いを始めさせていただいたのが、SmaRyu Postを導入する最初のきっかけです。

決め手は、”考え抜かれたシステム”と”真にドライバーに寄り添う”ポリシー

Q – CBcloudと一緒に課題解決するに至った決め手は?

JP 五味 ― CBcloudさんは、何よりもドライバーを大切にされています。ただ単にドライバーの稼働率を上げる、ドライバーを酷使するということではなく、真にドライバーに寄り添い“ドライバーの業務負荷の軽減や、付加価値をどう作っていくのか”を考えています。その部分が「誰でも簡単に配達できる仕組み作り」を思考していた、私どもとマッチしたのだと思っています。

SmaRyu Postの仕組みは、一つ一つのインターフェースをとっても、端末操作も、非常にユーザーフレンドリーなものでした。ユーザーの使いやすさを徹底的に考え抜かれていたので、私どもが目指していた、「誰でも簡単に配達できる仕組み作り」を実現するひとつのツールとして考え、SmaRyu Postの導入を決めました。

CBcloudさんは、常に改善を続けていくポリシー。そのため、実際にソフト面を含めて現在もアップデートをしていただいています。そういった動きを、一緒にプロジェクトを進めながら、身近に体験させていただくことができるので、課題解決を目指すのに、最適なパートナーだなと考え、今回、タッグを組ませていただきました。

実際にいろいろな問題を乗り越えながら、6局で試行するところまで持っていけたのは、非常にありがたいな思っています。

「汎用品で誰でも使える世界を作りたい」~ SmaRyu Postへの思い ~

CB 皆川 ― 私たちは宅配業務を行っているドライバーと関わる中で、「宅配現場のアナログさ」を実感していました。そしてECの荷物が増加する今後のために「何か手を打たなければ」と考え、作ったシステムがSmaRyu Postです。その後、日本郵便さんが主催されているオープンイノベーションプログラムへの応募をきっかけに五味さん・石川さんとお会いして、ご提案をしたのが最初です。

そこでCBcloudの持つドライバーとのマッチングサービスPickGo、SmaRyu Postの仕組みについて、お話をさせていただきました。
ここでご提案させていただいた内容が日本郵便さんの共感を呼び、まずはSmaRyu Postの実証実験をすることが決まり今回のプロジェクトに繋がっています。

プロジェクトを進めていく中で日本郵便さんの業務向けに、カスタマイズ対応が必要な部分もありましたが、SmaRyu Postは「汎用品で誰でも使える世界を作りたい」が軸になっていますので、カスタマイズ対応によって、従来使用している専用端末と同じ動きになってしまうことは避けるように気を付けました。

導入時に悩んだ ”荷物の線引き”

JP 石川 ― SmaRyu Postは、最初から慣れやすいUIが使われているので、UIが使いにくいということは、ありませんでした。まずは、100局で導入を予定していますが、実際にスマホを使ってトレーニングしてみると思っていたより、説明要らずみたいなところもありました。

ただ、SmaRyu Postでどこまで対応するか、という線引きについては、非常に苦労しました。

現場では当社で扱っている商品すべてに対応できる専用端末を使用しています。でもSmaRyu Postは、汎用性の高さが保たれています。汎用品だからこそ、次の開発が早いなどの利点も当然あるので、どこまでをSmaRyu Postで対応していくか。この線引きが、お互い議論しながら苦労したところです。実務的にも苦労しましたね。

CB 皆川 ― 宅配の現場で「配達に出るまでの業務」のオペレーション改善・改革や、SmaRyu Postで対応する荷物の線引きなども含めて、日本郵便さんには、柔軟に対応してもらえました。おそらく、一番大変だったのは、日本郵便さんのシステムとのとつなぎ込みの部分ですよね。

オペレーションの変革への大きなきっかけ

JP 五味 ― 専用端末を使った仕組みとSmaRyu Postの連携は、色々と調整が必要でした。ただシステムを業務に合わせていくのではなく、業務のオペレーション自体をシステムに合わせて変革していく必要を感じて、業務の標準化にも焦点を当てて対応してきました。

我々が必要だと思っていたことが、ドライバーや荷物を受け取るお客様の目線で見たら、そうでもなかったこと等もあり、あらためて業務・仕組みについて考える大きなきっかけにもなりました。

JP 石川 ― お互いどこまで歩み寄れるか、コミュニケーションを密に図れましたし、CBcloudさんのエンジニアの方も交え、技術的な「できる・できない」も含めて、理解しながら進められました。我々が理解したことは、現場にも伝えやすいので、大きな問題なく、最後まで進められたと思っています。

現場の声 ~ ”地の利に左右されない” 作業効率・配達効率の向上 ~

JP 石川 ― 新しい端末へ移行するにあたって、従来の端末に慣れていたスタッフからは、少なからずハレーションは起きると思っていました。当社の専用端末は、郵便配達や書留、集荷や代引き配達まで、多様な郵便関連商品にオールマイティに対応が可能です。ただ、オールマイティだからこそ、非常に分かりにくい・使いにくいところがありますね。それでも長く働く現場の社員にとっては、使い慣れた端末ですので、実際にいろんな違和感が、あったかもしれません。ですが、新しく現場で働く方にとって、従来の専用端末とSmaRyu Postのどちらが使いやすいかで考えると、どう考えてもSmaRyu Postのほうが使いやすいだろうという確信はありました。実際に、当初の想定より素直に受け入れてもらえたな、という実感はありますね。

JP 五味 ― 導入効果としては、まず作業効率・配達効率が向上したことがひとつです。CBcloudさんの知恵をお借りしたことで、非常にアナログで1時間かかっていた配達順路や積み込みといった作業が、10分程で終わるようになりました。地の利のない新人ドライバーでもそれなりの効率で配達でき、配達業務全体で見ると、作業時間は2、3割減ると想定しています。

導入効果 ~ 効率向上だけではない、もう一つの効果 “オペレーション” ~

JP 五味 ― もうひとつ、非常に大きな導入効果としては「アナログからデジタルへのオペレーション改革」に取り組むきっかけになったことです。例えば、証跡を画像の撮影や電子サインにし、デジタルベースで保存するのが、SmaRyu Postではスタンダードの対応です。この機会に、われわれの業務自体を、SmaRyu Postに寄せる部分も出てきています。業務を単に置き換えるだけでなく、お客様やドライバーのニーズにしっかり応えられているかを見直すきっかけになっています。

今後、SmaRyu Post導入による、作業効率・配達効率の向上と、オペレーション変革を進めていった先では、災害現場での業務などにも活用していきます。地方の局員が災害現場の応援にいくことがあります。慣れていない場所、避難所への配達、局舎が使えない、インフラが使えない、といった場合であっても、誰でも簡単に配達業務ができるようにする。そういった世界に一歩近付きました。

SmaRyu Post今後の課題と展開

JP 五味 ― 代引きや書留郵便といった、まだSmaRyu Postに適用していない配達サービスがあります。それらのオペレーション改革が課題ですね。個々の商品特性に合わせてSmaRyu Postを作り込むことは避けたいが、適用商品を増やし裾野は拡大したい。悩ましいですが、SmaRyu Postに寄せたオペレーションを組んでいきたいと思っています。

CB 皆川 ― 現状は、SmaRyu Postの適用有無によって日本郵便さんに荷物を選んでもらっている状態です。ただそれでは片手落ちだと考えており、宅配現場の効率化の為には、もう少し広い業務に対応する必要があると思っています。日本郵便さんだけに限らず、宅配現場の課題は多岐にわたり、アップデートは必須です。

JP 五味 ― 現状の課題解決を進めながら、確実に導入拡大していく予定です。現在の6局から、まずは10月までに200局、いずれは全国展開を見据えています。事業成長のためには、EC需要を確実に取り入れ、宅配荷物の変化にしっかり対応すること、フレキシブルな働き方をされる方の雇用を拡大することが重要です。SmaRyu Postの全国展開を進めることで、「誰でも働ける・配達できる」世界観に取り組んでいきます。

JP 五味 ― SmaRyu Post導入と同時に、配達の車輛変更も始めてみます。体格的な差により女性や高齢者が運転がしづらい現状があるからです。他にも勤務時間や、給与制度など、課題はまだまだありますが、働きやすい環境作りを少しずつ整えています。

CB 皆川 ― 誰でも簡単に配達できる仕組みとは、初めて業務にあたるシニアの方にも使いやすく、ベテランドライバーの方にも使いやすいものでなければならない。現場の声を聞きながら、SmaRyu Postは常にアップデートを重ねていきます。ドライバーが見やすいようにフォントや色だけ変えるといった小さなことも、使い勝手の大事なポイントです。

CBcloudの今後の展望

CB 皆川 ― 私たちが作りたい世界は、宅配の現場で働く方々の業務負荷を解決すること、そして、ドライバーの方々の地位向上・待遇改善です。その一助になるような仕組みはどんどん作っていきたいです。今回の日本郵便さんとの取り組みは、SmaRyu Postの導入ではありますが、他にも、PickGoでドライバーの流動性をもっと高めることにも着手できればと思ってます。そして、新しく宅配業務を担う方に、実際の業務を通して得る知見をスムーズにお渡しできるような仕組み作りにもチャレンジしたいと考えてます。

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