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塚本郵便逓送株式会社  株式会社はぴロジ 

【連載】第7弾「提携倉庫」でデジタル化とシェアリング、 急増するEC物流需要に神対応! ~物流インフラプラットフォームNews~ 塚本郵便逓送様の取り組み事例 [パート①]

こんにちは。シーアールイー マーケティングチームです。
暑~い夏から、あっという間に秋の深まる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回の物流インフラプラットフォーム(LIP)Newsでは、物流拠点として注目が集まっているエリアである「富山」からEC物流事業の拡大を図る、塚本郵便逓送株式会社の果敢なチャレンジをご紹介します。塚本雅彦 代表取締役は、構想実現に向けて株式会社はぴロジ(旧:株式会社ブレインウェーブ、園田有希生 代表取締役社長)と協働。同社のEC物流総合ソリューション 兼 物流シェアリングプラットフォームであるASIMS(アシムス)(※1)を導入して業務をデジタル化すると同時に、このプラットフォームに「提携倉庫」として参加。事業を10倍以上に急拡大させ、見事捌いてしまった……という驚きの取り組みです!

「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」「物流シェアリング」が叫ばれる今、たいへんに貴重な実践・成功事例となるその勘所について、お2人に直撃インタビューしました。ぜひお見逃しなく、ご一読ください!

はじめに ~逓送会社からEC物流企業へ~

塚本郵便逓送は昭和2年から90余年にわたり、郵便逓送会社(日本郵便から委託を受けて郵便物の輸配送を担う郵便局のパートナー企業)として、富山で郵便物の輸送と集配業務を担ってきました。しかし近年はロジスティクス業務を展開し、物流のトータルサポートで実績を重ねたうえで、急成長を続けるEC物流事業に参入。さらなる発展に向けて「次の一手」を構想していました。

一方はぴロジは1996年の設立以来、創業25年目を迎え、「2030年に流通総額1兆円の流通プラットフォーマーに」のビジョンを掲げました。同社は2018年、株式会社シーアールイー(以下CRE)の目指す「物流インフラプラットフォーム(LIP)」確立にシナジーを期待できることから、CREグループに参加。続いて本年6月にCREの完全子会社となり、LIPの本格展開を加速させています。

コロナ禍で拡大するEC市場

――「ウィズコロナ」の生活が社会全体に強いられている昨今ですが、EC物流の近況はいかがでしょうか?

塚本郵便逓送・塚本社長 - はい、コロナ禍による「巣ごもり需要」で、EC需要が拡大していることを実感しています。実はそれによって、物流業界全体としては作業人員への負荷が高まり、中でもトラックドライバーの負担が拡大していたんです。その逼迫した様子がコロナの影響としてあちこちの報道で取り上げられたことで、物流の大変さと(生活になくてはならない)必要性が、ようやく消費者にしっかりと認知されたのではないかと思います。

――その通りですね。御社の場合、EC物流ではどんな商材を扱っておられるのですか?

塚本 - 取り扱い品目は健康食品・サプリメント、化粧品などがメインで、日本郵便のポストイン商材(厚み3cm、A4サイズ程度まで)の扱いに力を入れています。当社のゆうパケットの出荷数は北陸エリアで1位、全国でも5指に入っています。

はぴロジ・園田社長 - ご指摘の「巣ごもり需要」の拡大は、テレワークの普及で大人も子供も自宅で過ごす時間が増え、消費者が生活必需品、とくに食品類の購買の多くをネット通販に依存するようになったことが背景にあります。

昨今デジタル化、ECの拡大が叫ばれていたものの、実際に進展するにはまだ時間がかかると思っていたのが、コロナの影響で一気に加速し、3月から半年もたたないうち急激に「ネット生活」が普通になってしまいましたね。国内外を問わず、ネット通販活用へのシフトが進展している。今まであまりネット通販を利用していなかった消費者も、「こういう便利な買い方ができるんだ」と認識されたのでしょう。当社のシステムにも予想以上の急激な負荷がかかりました。

WMS連携でプラットフォームに合流

――塚本郵便逓送さんは、はぴロジさんのサービスを導入し、「提携倉庫」になっておられると伺いました。提携に至った経緯と、何が決め手になったかをお教えください。

塚本 - EC物流事業を拡大しようと考えたときから、倉庫管理システム(WMS)が重要だと認識していました。どのWMSがよいかと探すうちに、はぴロジさんの社名が上がってきたんです。園田さんにお会いして「当社はEC物流のIT化、オートメーション化を進めたい」とお話しすると、同社のWMSで業務を効率化できるだけではなく、SaaSでシステム連携させれば「提携倉庫」のネットワークで「分散出荷」ができる、との説明を受けました。それなら、当社も分散拠点の1つになって北陸の地の利を生かし、事業を拡大できるのではと思ったのです。
他のWMSベンダーの話も聞いていましたが、はぴロジさんのASIMS(アシムス)なら物流IT化を進めると同時に、「物流シェアリングプラットフォーム」に合流することで、当社の事業も一緒に発展していけるのではないか、と将来を考えて提携を決めました。

園田 - 実は塚本社長と私に共通の知人がいまして。福岡でその知人と食事しているとき、「これからEC物流に取り組もうとしている物流会社の若い社長さんがいる」と聞いて、すぐ電話したんです。すると「早急に進めたい」とすぐ東京でお会いすることになりました。「EC物流で日本一になるくらいのつもりでやる」と熱のこもったお話を聞くうち、「ならば一緒にやりましょう」「ぜひご支援させてください!」と意気投合、その日のうちに話が決まってしまったんです(笑)。富山にWMSのデモに行ったら、「すぐに入れてください」となりました。

CREが塚本郵便逓送向けにBTS開発する
新センターの外観イメージ

塚本 - はぴロジさんと提携したのは2017年9月のことで、ここからEC物流分野に本格参入しました。提携事業は順調に進み、さらに昨年からはぴロジさん経由の取扱量が急拡大し、自社の倉庫スペースが不足することが明らかになりました。物件を探しましたが、当社のオペレーションに合致する賃貸用物流施設が富山には見当たらない。そこではぴロジさんの親会社であるCREさんからBTS型倉庫(※2)開発の提案をいただき、自社物流センターを設置することになったんです。

園田 - 当初からオリジナルで倉庫を建てるときにもサポートさせていただきたい、とお話ししていたんですが、それがもう来年6月に実現の運びとなりました(パート②参照)。この短期間で、ものすごく頑張られたと思います。

物流シェアリングプラットフォームで出荷指示自動化

――ここで園田社長、塚本郵便逓送さんが導入されたASIMSとWMSについて、特徴をご説明いただけますか?

園田 - 当社は、ECの課題を物流とテクノロジーで解決する流通プラットフォームを構築しています。そのコアになるのが、自動出荷管理システムであるASIMSです。

このクラウドシステムで全国の提携倉庫をネットワーク化して結び、あたかも1つの巨大な物流網のようにコントロールできる「VoW (Virtual One Warehouse)」として「物流シェアリングプラットフォーム」を構築しています。ASIMSがすべての倉庫を制御し、簡単な設定によって受注からの出荷業務指示を自動化できます。

EC事業者と売れた商品の配送に最適な倉庫をマッチングし、効率的な物流アウトソーシングを実現できるのが特徴です。配送先により近い、各地の複数の提携倉庫からの分散出荷に対応するので、送料の削減も可能なのです。様々なEC事業者のカートシステム等にも連携でき、ECショップの受注データ取り込みから配送まで、スムーズなデータの流れを実現します。現在、ネットワークを構成する物流拠点は全国に約90あり、さらに拡大中です。

物流会社さんは高額な初期投資なく導入でき、つないだ各倉庫ではカテゴリ別の物流プラットフォームを作ることができます。塚本さんの場合、健康食品やコンタクトレンズなどのカテゴリごとに、富山に加え埼玉・神奈川の他社分散拠点と連携して在庫しており、顧客に一番近い倉庫の在庫を引き当てて自動出荷指示ができるので、物流コストの最適化が実現されるのです。

―― ASIMSで業務がデジタル化されオペレーションが改善できたとのこと。運用開始までのリードタイムや、導入時の苦労話などあればお聞かせください。

塚本 -弊社は特別に対応いただいたのかも知れませんが、全体で1か月もかからず、カテゴリによっては2週間、さらに追い込みでは、はぴロジさんもどんどん速度を増してくださり、おしまいには10日くらいで連携できましたね。

園田 - そんな立ち上げができたのも、塚本さんと細かいコミュニケーションができたからです。

塚本 - その後、提携倉庫として荷物が急拡大したのですがASIMSのおかげでしっかり対応でき、それによりさらに仕事が取れるようになった効果は大きいですね。それまではCSVデータでやっていた時代もあり、今思えば危険だったと……(笑)。

園田 - どんなお客様、商品アイテムでも様々なデータを入れ、ASIMSでマッチングしてうまく対応いただけました。これが武器になり出荷指示がボタン1つで可能になったから、急拡大にも対応できた。我々も勉強になり、育てていただいたと感謝しています。

――すごい! 文字通りの「神対応」ですね!!

―― ASIMS導入で、現場改善

塚本 - 提携倉庫の仕事で拡大したあるお客様の例ですが、ASIMS・WMSと自動梱包から郵便番号別のソート、ラベルの自動出力・貼付までの自動化システムを連携させたことで、月に平均20万件余の出荷に対応可能になりました。これは導入前の10~20倍の数字になります。

園田 - 自動梱包機で省力化も進みましたからね。他のお客様も入れたらそんな数字では済まないと思いますよ。

(パート②「BTS倉庫開発」に続く)

※1ASIMS …Automatic Shipping Information Management System 
※2BTS 型倉庫 …特定のテナントの施設ニーズに応じた開発を行い賃貸すること
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執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

L-Tech Lab(エルテックラボ)代表、
物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)

1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。

著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。

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