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【連載】第11弾:土壌汚染地を低コストで浄化・再生し、物流・商業施設に転換、CO2削減にも貢献! ~物流インフラプラットフォームNews~ エンバイオHD・土地再生投資とCREのコラボで新たな価値創造

こんにちは! シーアールイー(以下CRE) マーケティングチームです。厳しい猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

さて今回は、物流他、不動産開発でつきものの、「土壌汚染問題」にスポットを当てます。工場跡地など汚染された土地は、すべて「完全浄化」しないと使えない……そんな「業界の常識」が、実は「大きな誤解」だったことをご存じですか? 英米独など環境先進国では、住宅や商業用地と工場・物流など産業用地で条件を切り分け、産業向けでは科学的知見から条件を緩和し、有効活用が促進されています。日本でも遅ればせながら法整備が進み、「国民の健康」が保全できる処置をすれば「健康被害はない=安全」と認められるようになりました。

ところが、国内では法令より「感覚的な安心」が優先され、法的には不要なのに巨額の費用をかけて完全浄化する、それがあまりに高額なため諦め、「塩漬け土地」になる…という経済不合理が繰り返されてきたのです。そこに新たな「再生」ソリューションを提供開始したのが、我らがLIP(物流インフラプラットフォーム)参画企業のエンバイオHDとCREの合弁会社である土地再生投資! CREは再生された土地に「ロジスクエア」シリーズを展開し、新たな価値をご提供する……この革新的ストーリーを、キーマン2人が語ります。ぜひご一読ください!

完全浄化・・・今までの汚染地売買の常識は「非常識」

――初めに、土地再生投資を合弁で設立したCREとエンバイオホールディングス(以下、エンバイオ)の協働の経緯を聞かせてください。両社は2015年に業務資本提携していますね?

油井 ー その通りです。続いて私ども土地再生投資がCREとエンバイオの合弁で、CREのグループ会社として設立されたのが2017年の12月です。

―― 物流施設開発で、土壌汚染の合理的な浄化が求められる背景には何が?

油井 ー 不動産会社が物流施設開発のために土地を取得するとき、工場跡地が候補になることも多く、とくに重厚長大、化学工場などの場合、で土壌が汚染されていることが多々あるのです。状況調査の結果、土壌汚染ありと評価されれば、従来の日本の商慣習ではとにかく「完全浄化」、つまり汚染ありと評価された土壌を完全に掘削除去し、清浄土と入れ替える、という手順が常識になっていました。しかしこの完全浄化には大変なコストと時間がかかります。コスト過多となり、売りたいけど売れない土地、「ブラウンフィールド」になることが多かったんです。

―― じゃあ広い土地はあっても使えない……。

油井 ー 実は環境先進国の米英独蘭では、住宅地の環境基準値が「1以下」だったとしたら、人の住まない産業用地ではたとえば「30以下」に設定されていたり、掘削除去でなく覆土・舗装などによる土壌汚染の残置や或いは封じ込めでよいなど人の健康に害を与えない科学的根拠に基づく安全で経済合理的なルールが定められています。これによって産業用地の再利用が促進されているのです。


一方日本では、土壌汚染対策法(以下、土対法)で環境基準値だけを住宅用地・産業用地の区別なく一律に決め、この環境基準値を超えるものは全て土壌汚染。土壌汚染対応の細かな運用・判断は売買当事者に委ねる、あいまいな形になっていました。実際に商取引をする売買当事者は、「汚染地」とレッテルを貼られないよう完全浄化するしかないとなり、それが商慣習になってしまっていたんです。

―― その土対法が今の形に整備されたのも、環境先進国に比べて遅い時期だったとか?

油井 ー はい。数十年前の公害を契機にできた公害対策基本法(1967)では大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7つを公害と規定し取り締まってきました(1993年に環境基本法に再編)。しかしそのうち土壌汚染だけは、土壌が基本的に私有財産であるからか規制の基準が定まらず、法制度の確立が課題となっていました。土対法が制定されたのはようやく2002年のこと。土壌汚染問題の解決は完全浄化に依拠するという課題が残っていました。

それが2010年に大幅改正され、同法の適用を受けた土地で土壌汚染が確認された土地は「健康被害があるか、ないか」が評価され、健康被害があれば「要措置区域」、健康被害がなければ「形質変更時要届出区域」に指定されることとなりました。健康被害の有無がその後の土壌汚染対応を考えるうえでの一つのパラダイムになりました。土壌汚染→完全浄化からのパラダイムシフトです。

―― 適切な対策をとれば、汚染された土地も物流施設に転用できるわけですね?

油井 ー その通りです。だから「なんでも完全除去が必要」という、今なお残っている商習慣は大きな誤解なんです。完全浄化に依拠してきた商慣習にとらわれず、法律が求める通りに土壌汚染対応を進めることにより完全浄化と比べ、低コストで適切かつ安全な対応を行うというのが当社のビジネスモデルなんです。全ては土壌汚染対策法を下支えとしています(図表1)。

図表1 土壌汚染対策法の規定と商習慣の相違点

エンバイオの技術で汚染地も低コストで再生

―― CREも従来、汚染土壌は高額なコストをかけて完全除去してから購入していたんですね。

油井 ー はい。その方針を転じるきっかけになったのもその後のロジスクエアの開発でした。その土地は工場跡地で、化学物質による土壌汚染が内在していましたが、現状有姿で売却したいという売主の強い希望がありました。浄化会社の見積りでは、完全浄化に10億円以上とありました。しかも浄化に2年間も要します。安全ですが経済不合理な土壌汚染対応です。これで採算をとることは容易でない。でも物流素地としてはとても良い土地。

そこでCREはエンバイオHDに相談したんです。幸い1999年の創業以来、土壌汚染対策技術を磨いてきたエンバイオグループは化学物質や油分の除去に高いノウハウを持ち、「原位置浄化」、つまり大量の土壌の掘削除去を行わず、土壌を原位置で薬剤で中和・無害化し、掘削除去と比べ半分のコストと期間で安全な土地に再生できることが分かりました。工場から物流施設への転換の中で発生した土壌汚染対応です。物流施設として恒久的で安全な土地利用×汚染状況×周辺環境、これら3つの要素を掛け合わせ、法令が定める規定の中で必要な対応と不要な対応とをすみわけました。その結果、掘削除去と比べた場合、対象とする浄化工事は半減しました。当然、費用だけでなく工事期間も半減したわけです。ファインプレーですね。その後、こうした取り組みを縁として両社は資本業務提携に進み、さらに当社が設立されたという経緯なのです。

―― 同じ悩みを抱えている売り手、買い手は数多いでしょう?

油井 ー ええ、物流はもちろん商業用地、マンションなど幅広い用途にニーズがあります。実は当社は物流適地に限らず、多用途の土地の土壌汚染問題を解決することを目的に設立されたんです。再生事業の第一号物件は商業用地でした。土壌汚染が内在し、売り渋り、買い渋りが発生する産業用地を当社が現状有姿で買い求め、適切な土壌汚染対策を施したのち、安全な土地をご提供する…。当社がいったん所有し土壌汚染に係るリスクを引き受ける「リスクテイカー」となるので、売買双方のお客様にご安心いただけます。再生前の土地の売買価格は過剰な土壌汚染対応に依拠しない分、上昇します。また、再生後の土地の買主様には煩わしい土壌汚染対応のない土地を確実にご提供できる従来の土壌汚染対応(完全浄化、リスク保証を採用しての土地取引)と当社の現状有姿買取サービスとの比較を図表2に示します。1億6千万円の費用を安全に圧縮しました。再生前の土地の売主は売買価格が上がり(従来の土壌汚染対応を採用していた場合と比べ)、再生後の土地の買主は良い土地を安全に確実に取得することができました。

図表2 商習慣と再生土地投資のサービスで価値を創出した事例の比較

1,000坪のスギ林が1年間に吸収するCO2を抑制

―― もう一点、貴社の汚染地浄化スキームが、CO2の排出抑制にも大きな効果を上げていると聞いたのですが、土地浄化と低炭素化がどう結びつくのですか?

油井 ー はい、簡単な事例でご説明しましょう。完全浄化、いわゆる掘削除去ではなく、土壌汚染対策法を下支えとし、今後の土地利用の内容や周辺環境に即した土壌汚染対応を選択したことにより約500㎥の汚染土壌を、健康被害のおそれのない安全な状態で残置いたしました。この500㎥の汚染土壌を掘削除去することを「不要」と判断したわけです。

 この500㎥の汚染土壌を掘削除去し、500㎥の清浄土で埋め戻すとしたら、汚染土壌を運搬する10tダンプトラック(1台に5㎥積載)が片道100台、往復200台必要で、埋戻す清浄土も同様に200台、都合400台が往来することになります。10tダンプ400台の往来。ここに膨大なCO2が発生します。汚染土壌の処理プラントと清浄土の産地が、対象地から平均20km圏にあるとします。すると10tダンプ400台がつど20kmを走破することになります。この工程で発生するCO2の量は約12tと試算できます。因みに、巨大なパワーショベルが500㎥掘削し、500㎥埋戻すのに発生するCO2はカウントしていません。

―― 「12tのCO2」…と言われてもピンときませんが、どれほどの量なんでしょう?

油井 ー はい、立派なスギの木71本が1年間に吸収するCO2の量が1tといわれています。それが12tですから、約800本のスギの木が吸収するCO2量になります。800本のスギとは、面積にすると約1,000坪、60m×60mの整形地に植林されるスギ林です。500㎥の汚染土壌を安全な状態で残置したという行為は、約1,000坪のスギ林が1年間に吸収するCO2を抑制したといえます! 専門家として土壌汚染浄化に必要な対応と不要な対応をしっかり切り分け、当社がリスクを取って対応した結果、得難い経済的価値が得られたうえに、CO2排出量を大幅に抑制するという、もう1つの価値を生み出せたことになるんです。

―― な、なるほど! 現在、脱炭素・グリーン物流、SDGs/ESG対応が荷主にも物流企業にも厳しく求められています。CRE+土地再生投資のフォーメーションで開発した物流施設を利用することで、ユーザーも地球環境保全に貢献できるわけで、大変な価値がありますね!!

千葉・白井市のロジスクエアでもコラボ

―― CREではエンバイオと土地再生投資とのコラボで従来以上に競争力のある物流施設開発が可能になったわけですが、野村さんもそのような案件に係ってこられたのですね。

野村 ー はい、今担当している千葉県の新設案件、「ロジスクエア白井(しろい)」がやはり土壌汚染のある工場跡地を利用するもので、まさに最新の、今から本格始動するコラボ事例になります。その他にも実際に新規開拓にかかる土地の候補の大多数が工場跡地ともいえ、検討段階から土地再生投資とは都度、相談しながらやってきました。 

―― そんなに工場跡地が供給されているんですか。製造業の国外移転やサービス業等への転換が今も進んでいるのでしょうね。結果として土壌汚染問題を抱える土地は、国内にどれくらいあるのか、何かデータはありますか?

油井 ー (社)土壌環境センターが事務局となって平成19年にまとめられた少し古い資料ですが、「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド問題の実態等について 中間とりまとめ」の中で、「<土壌汚染対策費が多額となるため土地売却が困難となる土地>の規模をブラウンフィールドの潜在的規模と考えると、資産規模で約10.8兆円、面積で約2.8万ha と推定される。この面積は、東京都区部の面積(約6.2万ha)の半分弱に相当する」としています。

―― これは土地再生投資が活躍を期待される市場ですが、大きな規模がありますね。CREがコラボ開発することで、土地の売り手、買い手のCRE、そしてこの物流施設を利用するユーザーとで、文字通り「三方良し」のメリットをシェアできるビジネスモデルに思えます。エンバイオ/土地再生投資とCREが組んだ案件は、白井の他にもあるのですか? 

野村 ー はい、2016年以降は細かい案件を含め、工場跡地が多いので、毎年1~2件に上っています。

――さて、現在分かっている範囲でロジスクエア白井の特徴や長所について教えてください。

野村 ー 立地は常磐自動車道 柏インターと東関東自動車道 千葉北インターの中間に位置し、インターからは少々離れていますが、国道16号線、国道464号線などの主要道路が近距離にあるため、首都圏へのアクセスに優れています。このエリアでは、隣接する印西市をはじめ物流施設が増えてきており、現在では新たな物流集積地となっています。その理由には、賃料相場が比較的落ち着いていることに加えて、交通の利便性、BCPの観点においても、下総(しもうさ)台地の安定した地盤、活断層がなく、大きな河川がないことから水害リスクが低いなどのメリットがあげられます。
建物面積は9,104.84坪(30,098.64㎡)の3階建で、1・2Fに接車バースを設けるという、ロジスクエアシリーズでも初めての形態になります。角地の有利性を活かして平屋としても2層倉庫としても使える利便性と、投資効率を両立しています。この二つは、トレードオフの関係にありますが、ロジスクエア白井はちょうど良いバランスになっているのです。
 また、今回は土地再生投資が取得して汚染土壌を完全浄化した上でCREが買い取り開発することで、リスクを排除しつつ、取得コストを抑えることで、物流施設用地の価格や開発コストが高騰している状況下においても適切な賃料設定を可能としています。

実は白井エリアは飲用井戸を利用しているケースが多いんです。土壌汚染と飲用井戸の2つの存在は、健康被害への影響もあり得るため、対応について十分な検討が必要でした。そこで、どう対応すればよいのか、土地再生投資と検討を進めてきました。

油井 ー 実際に、土壌汚染による健康影響が懸念されました。売主も困っておられました。売却益の最大化と社会的責任の両立。買主が土壌汚染対策を安全に確実に行うことが売却の条件になりました。汚染された状態で売っても禍根を残したくない、きちんと対応してくれる会社に売れば安心できる。そして、過剰な土壌汚染対応を抑制するプロに売却することで売却益の最大化を図る。当社のサービスがニーズに合致した瞬間です。当社が現状有姿で本件土地を取得します。所有者に就任するのと同時に土壌汚染のリスクテイカーになります。その後、解体と浄化をタイムリーに組み合わせ、土壌汚染は浄化します。そして、浄化済みで安全という評価を千葉県に頂いたうえでCREに売却、というシナリオにしたのです。 土壌汚染対策法でいうと、「要措置区域の解除を目指す」ということになります。

先ほど、別のサイトにおける当社の土壌汚染対応で、一部の汚染土壌を安全な状態で残置した。と説明しました。本件は敷地内に飲用井戸があり、土壌汚染による健康影響が指摘される状態でしたので、完全浄化を選択しました。汚染状況と周辺環境、今後の土地利用に合致した土壌汚染対応を考え、実行したのです。

―― これからも一歩先を行く物流施設とソリューションで業界をリードしてください。本日はありがとうございました!!

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執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

L-Tech Lab
代表 菊田 一郎 氏

1982年、名古屋大学経済学部卒業。83年流通研究社入社、90年より月刊「マテリアルフロー」編集長、2017年より代表取締役社長。2012年より「アジア・シームレス物流フォーラム」企画・実行統括。06年より東京都中央・城北職業能力開発センター赤羽校「物流の基礎」講師。著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える―メーカー・卸売業・小売業・物流業 18社のケース」(白桃書房、共著)、「物流センターシステム事例集Ⅰ~Ⅵ」(流通研究社)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。2017年より大田花き株式会社 社外取締役(現任)。2020年6月1日に独立、L-Tech Lab(エルテックラボ、物流テック研究室)代表として著述、取材、講演、アドバイザリー業務を軸に活動開始。同6月より株式会社日本海事新聞社顧問、同後期より流通経済大学非常勤講師。

~物流インフラプラットフォームNews~ バックナンバー

第1弾亀山社長に聞く! 新しいCREグループが目指す未来とは!?
第2弾庫内作業の人手不足でお悩みの方必見! より多くの人員をより簡単に
第3弾過度な土壌汚染対策コストを圧縮し、物流適地の供給を推進する
第4弾冷凍・冷蔵業界の方必見!トラック保有台数の最適化でコスト削減を実現
第5弾自動化実現で “アパレル業界課題” 解決に大きな前進!AMS × APTのシャトル式自動倉庫
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