2022.05.10
取り組み事例
KocoLabo 株式会社APT
【連載】第14弾:物流自働化・注目機器の新ショールーム「KocoLabo」いよいよ本格オープン!!海外製品もつなぐAPTの”ガレージ研究開発拠点”~物流インフラプラットフォームNews~

こんにちは! シーアールイー(以下CRE)のマーケティングチームです。この大型連休はみなさま、いかが過ごされましたでしょうか?
さて今回取り上げるのは、このLIPニュース第5弾でも取り上げたロボットストレージシステム“Hive”(ハイブ)ほか、先進物流設備が稼働する、㈱APT(アプト)の新ショールーム兼研究開発拠点「KocoLabo(ココラボ)」が、ついに本格オープン! という大ニュースです。
自動倉庫リニューアル、倉庫設備・システムインテグレート事業を手掛けるAPT社は、CREのLIP(物流インフラプラットフォーム)の一員。同社は5月10日、人手不足や持続可能性など物流業界の課題解決に貢献するため、海外製の自動倉庫システムやマテハン機器の国内最適化に向けた研究開発拠点兼お客様も見学ができるショールーム「KocoLabo(ココラボ)~ココロをつなぐSolution~」の開所式を行いました。
本ラボは、国内で初めてフルスペックの3Dロボットが稼働するシャトル自動倉庫Hiveのほか、AGF 、パレットシャトル、シャッターアソートシステムなど注目物流機器の稼働状況を見られるショールーム機能に加え、お客様と共に一歩先のソリューションを追求する実践型研究開発拠点の役割を兼備。同社が扱う海外製物流機器はコスパに優れているので、国内でも多くの企業が取り扱いを始めています。実は、それらを国内の従来設備とつないで連動させるには相当な技術力が必要で、簡単ではないのです。ところが! 独自の物流システムエンジニアリング力を持つAPT社では、機械制御の本質レベルまで食い込んでシステム機器同士のコネクトを可能にし、低コスト・高パフォーマンスの物流自動化をご提案できるというのです。いったいなぜ、そんなことができるのか? ここでは皆さんに代わってインタビュアーのキクタが話を掘り下げ、その核心に迫ります。ぜひご一読を!
自動化機器とココロをつなぐソリューション
当社はこれまで、物流現場の高度化・効率化を支えるマテハン機器、なかでも自動倉庫を軸とした物流機器のエンジニアリングやシステムリニューアルなどの事業でノウハウを蓄積してきました。機器メーカーではないシステムインテグレーターの立場で、様々なマテハン設備機器をつないで一体として機能させる「TUNAGERU Integration(ツナゲルインテグレーション)」をコンセプトに掲げています。

代表取締役社長 井上良太 氏
2018年くらいから、世界的な物流自動化ニーズを受けて海外でも自動倉庫やAGVなどの新製品開発がどんどん進み出しました。とくに中国では多くのメーカーが製品を出し、実導入も増えている様子でした。日本製品に比べ価格競争力があるので、当社でも使えないかといくつかトライアルで中国の物流機器を購入してみました。ところが、やはり市場環境や技術・発想、さらに安全規格のレベルの違いなどが大きく、日本市場にもってきてすぐに使えるわけじゃない、という現実に直面しました。
しかし当社は先述の通り、これまで様々なメーカーの開発した自動倉庫のシステムをリニューアルするなどエンジニアリング力を磨いてきたので、普通ならブラックボックスで手のつけようのない機器中枢の制御システムなど、内部まで入り込み、あるいはセンサなどのパーツもより機能の高いものに付け替えるなどブラッシュアップの工夫を重ね、外観は同じでも日本市場の求める高機能・高精度の物流機器に生まれ変わらせることができたんです。そんな会社はほとんどなく、海外製品の導入に悩む他企業から相談を頂けるようになったので、今では海外製品とのつなぎだけの仕事にも対応しています。
こうしたチャレンジのために必要だったのが、地道なトライを繰り返せる研究開発拠点で、ココラボの出発点もそこにあるのです。合わせて、日本市場に最適化した海外メーカーの自動化機器の稼働状況がいつでも見られるショールームとし、お客様に機能を体感していただこうと考えました。こうして国内のお客様に安心してご利用いただける、低価格でも高機能な独自のソリューションを提案し、「TUNAGERU Integration」の真髄である、人×機械、機械×機械、企業×企業……といった様々なコラボレーションや、機器とシステムのつながりを体現する場所として、このラボを機能させていきたいと思っています。

取締役 ソリューション開発本部長
小杉 直人 氏
ロボット自動倉庫、AGVがすでに稼働
(※1)記事リンク:第5弾「自動化実現で“アパレル業界課題” 解決に大きな前進!AMS × APTのシャトル式自動倉庫」
KokoLabo設置のHive前景と横移動するロボットシャトル

(※2)自律無軌道式SLAM制御:本体にカメラやセンサーを取り付けて制御する方法。
小杉 ー レーザー光をリフレクタで反射させて自分の位置を認識し、ガイドレスで走行します(レーザー誘導方式)。スリムタイプのAGVにフォークを取り付け、2段積み(1.6m)までできるようにしています。WMSほかほぼAPTの製品で動いているお客様の物流センターにすでにワンセット納品済みで、自動倉庫の出庫口から別棟の建物までのパレット搬送に活躍しています。洗練されたデザインのAGF

パレットシャトルはパレットの下に潜り込み、移動・搬送できる

シャッターアソートシステムと連携するクイックトロン社のCTR

つないで、まとめる本格物流インテグレーター
―― 本格オープンしたラボと、貴社全体の今後の展望、目標を聞かせてください。
井上 ー ラボに投資した以上はしっかり収益を上げなければなりません。まずはHiveを伸ばし、次にはパレットシャトルを伸ばしていきたいと思います。当社は自動倉庫のシステムから発展してきたので保管系が得意なんです。しかしAGVほか新しい技術もどんどん出てきますから、良いものがあれば迅速に取り込んで最適化できるよう、余力を残して進めていきます。
井上 ー 大変重要なポジションにあると思います。力をつけるほど役割は重要になるので、ご期待に沿えるよう頑張ります。
―― 最後に読者の皆さんに向けて、KocoLaboではどんなお客様のどんな悩みにお応えできそうか、改めて聞かせてください。
井上 ー 広く物流現場作業の自動化を検討しているお客様、まだ自動化できていないが何とかしたい…とお考えのお客様に来ていただければと思います。従来のメーカー各社のショールームにはない価値を実感していただけるはずです。
小杉 ー 物流で何か困っていることがあれば、ともかく気軽に来てください。今お使いの物流機器を有効活用しながら、新しい機器をつなぐ解決策をご提案できるのが、APTならではの強みだと思います。我々なら海外でも国内でも、どのメーカーの機器でもつなげるんです。
実際にそうした開発、実証、カスタマイズなどの調整を行うのが、ガレージエリアのA-PIT。エンジニアが常駐し日夜汗をかく、まさに泥臭い現場そのものですが、これによって導入からアフターフォローまで実感していただけるのが、KocoLaboだけの特徴と思います。

「KocoLabo〜ココロをつなぐSolution〜」の概要と開設経緯
所在地 | 千葉県習志野市茜浜3-7-2(Landport習志野 1階 PoC習志野Hub内) |
目 的 | 昨今の物流課題解決に向け、成長著しい海外メーカーの物流機器を、独自ソフトウェアによる制御テストなどを通して国内の事業者が安心して利用できる低価格・高機能な独自ソリューションとする研究開発を行うとともに、多様な自動化設備の稼働・連携状況が実機で確認できるショールーム機能を果たす |
開 設 | 2021年9月に開設、2022年5月に下記設備を稼働させフルオープン |
稼働設備 | 3Dロボット自動倉庫 Hive、パレットシャトル、AGF、ゲートアソートシステムほか |
ショールーム見学のご予約について
下記問い合わせフォームより、ご希望のお日にちをお知らせください。APT社よりご連絡をさせていただきます。
>> 見学のご予約はこちらから <<
https://www.yourlogi.com/form/inquiry/
※その他お問い合わせより、ショールーム見学ご希望の旨とご希望日をご入力ください。
執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介

物流ジャーナリスト
(㈱大田花き 社外取締役、㈱日本海事新聞社 顧問、流通経済大学 非常勤講師、ハコベル㈱ 顧問)
1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。
著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。