2022.02.10
取り組み事例
株式会社シーアールイー
【連載】第13弾・パート②:100坪から1万坪まで全国にラインナップ、CREの倉庫マスターリースはココがすごい!~物流インフラプラットフォームNews~ オーナーにも借り手にも喜ばれる物流不動産サービス
こんにちは! シーアールイー(以下CRE) マーケティングチームです。
さて、当社の祖業であるマスターリス事業を中心にお話を伺った物流インフラプラットフォームNews第13弾・パート①につづきまして、パート②では、マスターリース物件の高稼働を維持するリーシング力を中心にまとめております。
また、当社が取り組むマスターリース協会の役割についても伺いましたので、引き続き、ぜひご一読ください!
インタビュー記事・音読動画
下記動画にて、本記事を音声で読み上げております。通勤時間、ながら聴きにぜひご活用ください♪
マスターリースの高稼働を維持するリーシング力
―― CREのリーシングでは、マスターリース物件・自社の開発物件「LogiSquare」だけでなく、仲介案件など幅広く取り扱っているそうですが、年間にどれくらいの案件を扱っていらっしゃいますか?
樋髙 ー 年によって変わりますが、マスターリース物件・自社開発物件「LogiSquare」、他社物件の仲介で、年間契約件数は、120件から多い時で200件以上、契約面積については10万坪前後の実績となっております。
「物流不動産といえばCRE」と当社のPRをしていますが、物流不動産・倉庫のニーズが高まり、この事業に特化してきた当社の認知度も年々高まってきております。当社の長年の経験と実績、そして幅広いネットワーク等からご信頼頂き、日頃から交流させて頂いている同業他社さんや物流会社さん、また新規参入企業さんからもリーシングの協力を依頼されることが多くなってきております。
―― CREには他にないリーシング力があることが認知されてきたということでしょうか。
樋髙 ー ええ、倉庫が空いた時、オーナーさんは地元の不動産屋に相談する場合も多いんですが、地域の会社には、倉庫をご利用されるテナントを探すネットワークが十分にない場合があるので、直接ご依頼頂くことはもちろんありますし、地元の不動産屋から実績のある当社に声をかけてもらうことがあります。地域の農協や金融機関経由で話をいただくこともあるんです。
―― 他社にはないリーシング力があるのもやはり長年、倉庫マスターリース事業を行ってきた実績から得られた知見やノウハウの賜物でしょうか?
樋髙 ー 4点あるかと思います。
1点目は、広範囲のエリアで、小規模物件~大規模物件までフルラインナップの事業を展開しているので、幅広いテナントさんのニーズに対応できる“対応の幅”がある点。
2点目は、物流不動産・倉庫の開発から賃貸借、管理までワンストップソリューションを提供し、循環型ビジネスモデルを構築しているので、各部門が連携しテナントとの信頼関係を構築していくことで次のリーシングに繋げていける点。
3点目は長年の実績と幅広いネットワークを生かし、自社管理物件だけではなく、豊富な情報をキチンと管理した上で、データベース化し、情報の一元化が出来ているので、幅広く物流不動産・倉庫のリーシングを行うことが出来る“情報の幅”があること、また、マーケティングチームによって物件検索サイト「CRE倉庫検索」、当社主催の物流セミナー「CREフォーラム」や展示会等のイベントの企画・運営によって、新たなニーズをリーシングと連携し対応出来ている点。
4点目は、開発、マスターリース、プロパティマネジメント、リーシングとすべての機能を包含して持っている当社ではトータルで支援することができ、かつ様々なオプション(事業ビジョンで掲げている倉庫の利便性を高める「倉庫+α」のサービスの同時提供(物流インフラプラットフォーム))も持っているため、複数の会社と個別にやり取りをする面倒さもない点。
以上4点などが当社のリーシングの強みになっていると思います。
新規開発・BTS倉庫のマスターリースも?
―― マスターリースのバリエーションとして、このシリーズで以前私が取材し記事になっている、富山の開発物件がありました。お客様のニーズを受けてBTS型倉庫を新規開発したとのことですが、これもマスターリースなのだそうですね?
大木 ー はい、塚本郵便逓送様の場合、立地と施設に対するご希望を聞いて我々が土地を探して取得し、BTS倉庫を当社が開発しました。土地所有者に建ててもらって当社が借りるのではなく、この倉庫をファンドに売却してから、当社がマスターリースしてサブリースでお貸しする、というスキームにしたんです。マスターリースの新しいバリエーションの1つと言えますね。
ご希望を聞いてから土地を探し、要望に合わせた倉庫を建てるのには時間がそれなりにかかります。できた施設を貸す、「建て貸し」ならすぐに使えるので、多くの物流施設開発は汎用型の施設を先に作って入居者を募る、マルチテナント型のスタイルを取っています。
―― 倉庫のニーズが高い今、農地などの土地を持っていて、倉庫にしたいという地主さんのニーズもまだ出ているのでしょうか?
大木 ー はい、倉庫が本当に足りないですから。今まで、個人が空いた土地をもっていて投資をされる場合、一番多いのはアパートを建てることでした。ところが実際には家賃を下げられたり、設備が壊れたので修繕が必要になったり、思ったより費用が掛かることも多いようです。でも倉庫にはそうした心配が少なく安定した賃料が稼げるので、「倉庫を作ってよかった」と喜んでくださるリピーターも多いですね。ただ、倉庫にできる場所はアパートに比べると限られます。アクセスや道路幅などの条件があるので、土地があってもそうたくさんはできないんです。
樋髙 ー 「この土地に倉庫を作りたい」とお話しいただいても、周辺環境が倉庫向きでないところが多いんです。その場合は店舗や住宅を考えることになりますね。 また最近は1人で広い土地を持つ大地主さんが少なく、ある程度の規模の倉庫を作るには複数の土地オーナーを集めて開発する必要も出ています。
―― CREのもう一つの強みは、図表1(パート①へ掲載)にもある通り、プロパティマネジメントサービスも提供できることですね。オーナーは家賃の収受や建物・施設の運営管理業務まで全部CREにお任せでできてしまう。それにCREでは同業他社の物流不動産企業の施設にもプロパティマネジメントサービスを提供しています。
樋髙 ー はい、個人のオーナーさんから受託するプロパティマネジメントや、ファンド・リート(※)の案件の場合はPM事業部が物件管理を受託しています。これも長年にわたる、案件数国内最大のマスターリースの事業経験から積み上げたノウハウがあるからこそ、できることだと思います。
大木 ー 現在は年間2万坪くらいを目標に仕入れていますが、それ以上の潜在ニーズはあります。当社としてはもっと増やしたいのですが、稼働率がみな高いので、倉庫が空いて困っているオーナーも少ない。候補があっても多くの土地は住宅が迫って狭く、新たに倉庫を作るのは簡単ではなくなっているのも確かです。
倉庫不足で日本の物流を止めないために
―― CREではほかにも、多数の物流関連企業と連携し、倉庫管理システム(WMS)、倉庫シェアリング、物流ロボット、配送管理など、物流のインフラ高度化をトータルで支援する物流インフラプラットフォーム(LIP)の活用、という付加価値サービスをもっています。それによる差別化も可能ですね?
樋髙 ー はい、庫内作業を自動化したい、在庫管理システムを入れたい、といったお話もあるので、リーシングチームとLIPチームで協議しながら進めるケースが増えてきました。
―― ところでCREでは2017年にマスターリース企業5社で「一般社団法人 日本倉庫マスターリース協会」を立ち上げています。同じテーマなのでその活動状況についても教えていただけますか?
大木 ー この業界では従来も横のつながりはあったのですが、まとまった団体がありませんでした。「倉庫のマスターリースについて世間、行政の認識を高めて盛り上げよう」というのが設立の目的です。お話した通り、現在は倉庫が少なく、倉庫にできる場所も限られています。必要な倉庫が作れないと中小を含む企業の活動が阻害されてしまう危険もあります。ならば行政に働きかけて土地の用途などの規制緩和を進め、もっと倉庫が作れる環境にできないかと考えました。
それには例えば、「これだけ稼働率が高いのに新たな倉庫が作れず困っている」「どこにどんな倉庫があり、稼働率はこうだ」といったデータを揃える必要があります。今行政には「日本全国の中小型のマスターリースの倉庫面積」などのデータはありません。ならば業界が一丸となってデータを作り、倉庫の必要性をアピールして業界の認知度を高め、倉庫を増やせるようにしようと。 これには土地を持っている方の活用方法の幅を広げる意味もあります。同時に、倉庫を借りられず困っている中小企業を支援することにもなると思います。
ご参考HP | 一般社団法人 日本倉庫マスターリース協会 |
―― よく分かりました。では最後に、2022年の展望、抱負を聞かせてください。
大木 ー 今は倉庫の供給が足りない中で、①土地を買って当社が倉庫を作ってマスターリースする、②土地所有者に倉庫を作ってもらう、③完成した空き倉庫に入ってもらう…という3つの方法で、可能な限り多くのご要望に応えていきたいと思います。
樋髙 ー 100坪~1万坪まで取り扱って多様な選択肢をご用意していますが、中でも300~500坪の倉庫ニーズが高いので、ここをターゲットとして力を入れる考えです。
―― 新型コロナウイルスの影響はまだ見極められませんが、今年はある程度経済の動きが戻ってくるはずで、ますます物流不動産ニーズは高まるはず。目標はどうでしょうか?
樋髙 ー 全社的にマスターリース物件を増やす目標を掲げていまして、リーシング部隊としてはそれを形にして貢献したいと思います。98~99%の高稼働率の維持にもリーシング力が反映しています。ニーズを反映し、受け身でなくこちらからご提案する姿勢で、LIPを含めた倉庫プラスαでCREの強みを訴えていきます。倉庫のバリエーションが豊富で、エリアも各地の地方都市まで広くカバーしているので、例えば全国の物流拠点体制を再編、再配置したいというご要望にもお応えできる。そうしたサービスを迅速にご提供することが今年の目標です。
―― ありがとうございました。経済が活発化するアフターコロナには「物流クライシスの再燃」が必至か、との声もあります。日本の物流を止めないためにも、ぜひ頑張ってくださいね!
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執筆者 菊田 一郎 氏 ご紹介
1982年、名古屋大学経済学部卒業。物流専門出版社に37年勤務し月刊誌編集長、代表取締役社長、関連団体理事等を兼務歴任。2020年6月に独立し現職。物流、サプライチェーン・ロジスティクス分野のデジタル化・自動化、SDGs/ESG対応等のテーマにフォーカスした著述、取材、講演、アドバイザリー業務等を展開中。17年6月より㈱大田花き 社外取締役、20年6月より㈱日本海事新聞社 顧問、同年後期より流通経済大学非常勤講師。21年1月よりハコベル㈱顧問。
著書に「先進事例に学ぶ ロジスティクスが会社を変える」(白桃書房、共著)、ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト「ロジスティクス・オペレーション3級」(中央職業能力開発協会、11年・17年改訂版、共著)など。