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物流不動産とは?小売、ECに必要不可欠な倉庫や施設

物流不動産とは、物流業務を行う施設として賃貸される倉庫・物流センターなどの建物を指します。ビジネスモデルとしては賃貸面積に応じた賃料を貰い受けることで成立します。

物流不動産は小売やECに必要不可欠とされていますが、なぜ今需要が高まっているのでしょうか。

本記事では、物流不動産の概要や種類、需要増加の理由、今後の課題などをご紹介します。

1. 物流不動産とは

物流不動産は物流を行うための倉庫や物流センターなどの建物のことです。賃貸型であれば、面積に応じた賃料を収受することでビジネスが成立します。近年、通販業務の需要増加などにより物流不動産の需要が高まっているとされます。

1.1 物流不動産の変遷

日本の物流を取り巻く現状は、人口減少や少子高齢化の進展に伴って変化しています。労働力不足の顕著化、国際競争の激化、ICTの革新などさまざまな変化があり、消費者のニーズも多様化しています。そのため、物流不動産に関するニーズも変遷をたどっているとされています。

従来の物流不動産は、荷主から預かった貨物の保管を主な利用目的としていました。しかし1990年代後半ごろからは、貨物の保管だけでなくそのため、物流不動産は高機能設備や加工スペースの確保など付加価値を付けた施設への移行が進みました。

さらに近年では、多様なニーズに応えられる大規模な物流不動産が増えているとされます。

1.2 どんな業種・業界が利用している?

物流不動産は 物流事業者(3PL)や配送事業者、小売やEC、アパレル業界など多岐に亘る業種が利用しています。

例えば、インポート系の企業は海外から来た商品などをそのまま出荷することはできないケースが多くあります。タグを日本用に付け替えたり、針が残っていないかX線検査機にかけたりなどの作業が必要です。

物流不動産は単に荷物を保管するだけでなく、このような流通加工部分も担うことが増えています。また、ジュエリー業界においては、商品保管のほか、品質チェックやサイズ直し、アフターケア、リペアなどができる加工場を備えた倉庫などもあります。

2. 物流不動産の種類

物流不動産は目的などに合わせ「マルチテナント型」と「BTS型」の2種類に分けられます。

2.1 マルチテナント型

複数のテナントに対して貸し出すことを前提とした物流施設です。複数テナントの入居を前提とし、柔軟性の高い設計、また、テナントの入れ替えにも対応できるような施設として建設されます。

各階に大型車やトレーラーが直接アクセスできるような通路などが設けられており、ワンフロアが広くとられていることが多く、レイアウトの自由度も高いです。

さらに、BCP対策として免震構造を採用したり非常用電源を設置したり、従業員が快適に働けるよう、カフェテリアや無人コンビニなどの環境が整えられている施設が増えてきました。

2.2 BTS型(Built To Suit)

BTS型は、特定のテナントなどの要望に合わせてオーダーメイドで建設される物流施設です。

顧客の要望に合わせて1社専用の賃貸用物流施設として開発されます。土地の選定、取得、設計、施設開発、竣工後の管理や運営などが行われ、専用の施設として貸し出されます。

専用施設のため、予算や立地、レイアウトなど要望に合わせた物流施設を作ることが可能です。また、業種に合わせて必要な機能や設備を備えることもできます。

例えば、冷凍・冷蔵倉庫や医薬品の保管に適した部屋、重量物対応の床など特殊な要望にも対応できるのが特長です。

3. 今後、物流不動産がより重要な時代に

物流不動産は今後より重要な時代になるとされています。その理由には以下が挙げられます。

3.1 EC需要の高まり

1つ目はEC需要の高まりです。インターネットの普及による通販の需要拡大に伴って、貨物の小ロット化や時間指定配送などのユーザーのニーズの多様化により小口輸送が増加したとされています。
さらにECサイトの短納期化の流れもあり、企業間での貨物輸送が重視されています。

そのため物流施設に対して、多頻度で迅速な入出荷対応や24時間の操業体制、保管だけでなく流通加工も含めた多機能化が求められるようになりました。

またEC化率もBtoC-ECで8.08%(前年比1.32ポイント増)と増加傾向にあり、EC化が今後も進展することが予想されています。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

女性の就業と高齢者の増加もEC需要拡大を後押し

女性の就業人口増と高齢者の増加も、EC需要拡大の一因でないかと考えられています。厚生労働省の発表によると、令和元年の女性の労働力率は約53%と前年に比べて0.8ポイント増加しています。雇用者数は約2,700万人で、前年と比較して49万人も増加しています。

そのため、実店舗での買い物に充分な時間を割くことができない人が増えており、EC需要はますます拡大するであろうと予想されています。

また、日本は高齢化も進んでおり、内閣府によると令和元年の65歳以上の人口は約3,500万人で、総人口に占める割合は約28%となっています。このため、実店舗まで買い物に行くことが難しい高齢者が増え、それに伴いEC需要も増加しているのではないかと考えられています。

特に近年では、百貨店やスーパーマーケットなどの食品類を通販で買えるケースも多く、今後さらに利用者が増えることが予想されます。こうしたEC需要の高まりとともに、物流不動産の重要性はますます高まることでしょう。

出典:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 1)

出典:厚生労働省「働く女性の状況

3.2 用途の多様化

2つ目は物流不動産の用途の多様化です。いわゆる物を置いて保管するだけの「倉庫」から物流に関わる作業や、製品加工も可能な「物流施設」に変化しています。

保管以外の業務を物流施設内で行うことで、コスト削減や出荷までの時間削減などのメリットがあるとされています。保管以外には以下の用途が挙げられます。

・仕分け作業
・ピッキング
・タグ付け
・セットアップ
・商品撮影のための写真スタジオ
・修理などの作業場
 など

こういった様々な用途に対応することで、従来の倉庫から物流施設に需要が移ることになったとされています。また物流施設内でより多くの働き手が必要とされることから、空調や食堂、カフェ、保育スペースなど快適に働ける施設環境も整えられるようになりました。

AIなどによる自動化システムや自動運搬ロボットを用いた大規模な施設も増加しています。

4. 物流業界における課題

物流不動産を含めた物流全体に関する課題として、ドライバー不足などの働き手不足や労働環境の悪化などが挙げられます。また物流コストも高騰しており、物流業界を取り巻く環境はますます厳しさを増していると考えられています。

4.1 主な課題

働き手不足

日本は少子高齢化などの影響もあり、あらゆる業界において人手不足が叫ばれています。国土交通省が発表している「トラック運送業の現状等について」によると、トラック業界で働く人のうち約45%は40~54歳とされています。一方で、29歳以下の若年層は全体の10%以下と、高齢化が深刻となっています。さらに女性の割合は2.5%と、全産業と比較しても極めて低い状況にあります。
こうした人手不足の解消には、労働条件の改善が不可欠とされています。

出典:「トラック運送業の現状等について

労働環境の悪化

少子高齢化以外にドライバーが不足する原因として挙げられているのが、労働環境の悪化です。トラックドライバーは全産業と比較しても低賃金・長時間労働であるため、そもそも働き手が集まりにくいといわれています。

長時間労働の要因の一つとされているのが、長時間の荷待ち時間・荷役時間です。荷待ち時間がある運送では、平均拘束時間が約13時間半にも上っています。これは荷待ち時間がない運送の平均拘束時間の約11時間半と比べると、2時間も長いという結果です。

そのため、労働環境を改善するためには荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化などの改善に取り組むことが重要とされています。

出典:「トラック運送業の現状等について

小口配送の増加

経済産業省が発表した「国内電子商取引市場規模」によると、BtoC-EC市場規模の物販系分野は2019年の約10兆510億円と比較して、2020年は約12兆2,300億円と約21%の伸長率となっています。

ECが浸透したことにより、配送では個人向けの小口配送が増加したことが見て取れます。小口配送が増加すると積載率が減少し、ドライバーの負担がますます増えてしまいます。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

4.2 課題解決のための取り組み

これらの物流課題を解決するためには、

・物流システムを導入する
・物流アウトソーシングサービスを利用する

など、物流ソリューションを活用していくことが有効です。

詳しくは以下の記事もご参考ください。
物流業界の課題と解決策|今すぐ実施すべき対策とは

4.3 物流不動産の課題解決の取り組み

物流不動産における働き手不足の解消対策としては、労働環境に配慮した施設の建設などが挙げられます。

例えば、従業員が快適に過ごせる倉庫空間や休憩室、清潔な水回り設備などを取り入れた施設です。従業員が長時間過ごす場所を快適な空間にすることにより、心身のストレスが軽減され、作業効率の向上や雇用の促進が期待できるでしょう。

5. まとめ

物流不動産は、従来は荷物を置いておくだけの「倉庫」としての役割しかありませんでした。しかし近年では、EC需要の増加や用途の多様化などにより物流不動産に求められるニーズも変化してきたとされています。

貨物保管だけでなく、高機能設備の導入や流通加工スペースの導入、労働環境改善のための施設の建設など、保管以外の付加価値が付いた物流施設への移行が進んでいます。

5.1 CREの物流不動産サービス

国内では数少ない物流不動産に特化したシーアールイーでは、物件の開発と建設、賃貸借から物件管理まで物流不動産に関わる様々な事業を行っております。

LogiSquare

CREの自社開発物件「LogiSquare」シリーズは、合理的なレイアウトと機能的なデザインを兼ね備えた物流施設です。従業員が働きやすい快適な環境作りのため、機能性と快適性にこだわった倉庫空間や親しみやすい休憩室、女性目線を取り入れた水回りなどの設備が整えられているのが特徴です。

エントランスやカフェテリアだけでなく、倉庫空間の快適性や機能性も重視されています。動きやすい作業動線や空調効率アップが期待できる耐火・断熱パネルの採用、ストレス軽減のための照明温度設定など、従業員の定着率向上にも力を入れています。

物流不動産をお探しの方は、ぜひ一度当社までお問い合わせください。

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