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物流自動化によるメリットと導入における課題

物流自動化が実現されることで、配送や倉庫管理などの物流業務が効率化されるだけでなく、リソースやコスト削減にもつながります。
本記事では物流自動化の概要やメリット、導入までの課題をご紹介します。

1. 物流需要が増加している

近年、通販の利用者が増えたことにより、配送数が増え物流需要は増す一方とされています。また2020年に流行した新型コロナウイルスの影響もあり、外出せずとも必要なものが手に入るECサイトを利用する人が増えているといわれています。

国土交通省の発表によると、EC市場は全体で約18兆円規模に上っています。さらにEC市場規模の拡大に伴い、5年間で宅配便の取扱件数は約6.7億個増加し、年間45億個に迫る勢いです。このように、個人宅への小口配送の需要は年々増加しています。

しかし反対に、労働人口は減少の一途をたどっています。日本は少子高齢化が進んでおり、生産年齢人口が減少しています。そのため、働き手不足になり、スムーズな物流が困難になることが予測されているのです。このような現状を受け、物流自動化による業務効率化などが求められています。

出典:国土交通省「物流を取り巻く動向について」

2. 物流自動化が徐々に進んでいる

荷物量の増加や人材不足などに伴い、物流を自動化する需要も高まっています。以前は、物流業務のほとんどが人力で行われていました。しかし、商品の種類や荷物の量が増えた昨今、対応には多くの人員を割かなくてはなりません。それでも荷物の量が増えれば、必然的に対応できなくなります。そのため、日々の業務をより効率化する必要があります。現在では機械化が進んでおり、在庫管理や管理業務なども自動化されるようになりました。

2.1 物流の自動化の種類

物流の自動化は、未だすべての作業が自動化されているわけではありません。自動化が進んでいる作業は、入庫から仕分け作業の一部で主に仕分け作業になります。

仕分けの自動化は、倉庫に届いた荷物を選択した場所に分類・配置することで、業務を効率化します。特に、人手が必要となる棚入れとピッキング作業を自動化できると、人的コストの削減につながります。ただし、荷物の積み下ろしやピッキング作業などは人間の判断が必要な部分もあります。さらに荷物の種類は多種多様であるため、自動化が遅れているとされています。

しかし、今後は荷物量の増加や人材不足などの背景から、加速度的に自動化が進んでいくといわれています。

2.2 ロボットの導入もされている

物流自動化ではロボットの導入も行われています。代表的なものがピッキングロボットです。ピッキング作業を効率化できるロボットで、リアルタイムで在庫状況の把握なども可能です。ロボットは以下のような種類があります。

アーム式

商品の移動を行うロボットです。荷物を特定の場所から特定の場所に移動させるロボットで、荷物を効率的に運ぶことができます。

レール式

倉庫内で梱包エリアから配送エリアまで商品を運ぶロボットです。レールに乗せて運ぶことからレール式と呼ばれています。

AGV

Automatic Guides Vehicleの略で、自動搬送ロボットや無人搬送ロボットとも呼ばれています。倉庫内にある荷物を指定場所に移動する際に用いられています。

AMR

Autonomous Mobile Robotの略で、AGVと異なり磁気テープなどのガイドを必要としないことから、自律搬送ロボットと呼ばれることもあります。倉庫内自動化ソリューションの中でも、導入のハードルが低いと言われています。

2.3 今後は全自動化も期待されている

現在、全自動化は実現していませんが、新しい取り組みとしてテストされています。倉庫内作業の場合、ピッキングや荷降ろし、荷積みなどの部分をロボットに任せたり、ピッキング時の移動を自動搬送車で行ったりという倉庫もあります。また配送部分ではドローンや自動運転車を利用することで、輸配送業務を完全自動化する試みもされています。

現時点では機械にすべて任せることは難しいとされていますが、システムやロボットにできることは年々増えているといわれています。そのため、今後自動化に関する技術の情報を集めることも大切になるでしょう。

3. 物流自動化によるメリット

物流自動化によるメリットは以下が挙げられます。

3.1 リソース削減・人材不足解消

物流自動化によるメリットの1つにリソースの削減と人材不足の解消があります。

適正コストを維持するために、適正人員を配置しなくてはいけませんが、閑散期や繁忙期のある商品だと予測がしにくい面もあります。人員が多すぎればコストがかかり、少なすぎれば一人当たりのリソースが増え、業務そのものが立ち行かなくなる可能性があるでしょう。

物流を自動化することで、ロボットやシステムによって効率的に業務を進められます。閑散期や繁忙期の対応もしやすくなるため、リソースの大幅な削減につながるでしょう。

さらにリソース削減はスタッフの負担軽減にもつながります。また、現場作業に割く時間を減らせれば、マーケティングや商品開発・改善など、コア業務に時間を充てることができます。その結果、商品・サービスの質を上げることができれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。

3.2 コスト削減

2つめはコスト削減です。

システムやロボットを配置することで、人件費を削減できるためコスト削減につながります。ただし、物流自動化をすれば導入コストなどがかかるため、一時的にコストがかかることには注意が必要です。

課題に対して適切なシステムが導入されていれば業務効率化につながるため、中長期的には大幅なコスト削減につながる可能性があるでしょう。物流自動化をとり入れる際は、導入コストだけに目を向けず、中長期的なトータルコストをしっかりと計算する必要があります。

3.3 リスクヘッジ・ヒューマンエラー防止

3つめはリスクヘッジやヒューマンエラーの防止です。

物流業務を全て手動で管理していると、災害などのトラブルがあった際、担当者がすぐに対応することができず、出荷制限や停止をしなくてはいけないリスクもあります。また、顧客への連絡が遅れてしまうことにより、クレームが出てしまうことも考えられます。リアルタイムに管理できるようになると、顧客へ迅速に連絡できるようになり、クレームなどのリスクを回避することにつながります。

また、ヒューマンエラーの防止にもつながります。人間が作業する以上、多少なりともミスが出てしまうことは仕方がありません。大事なことはいかにヒューマンエラーを減らし、エラーが起こっても迅速に発見できるシステムづくりです。システムがきちんと機能していれば、ヒューマンエラーが起きてもすぐに発見し、カバーできます。またデータ管理をAIなどに任せられれば、管理に関わる負担も軽減できるでしょう。さらにヒューマンエラーが起きやすい業務をロボットに変わってもらうことで、ヒューマンエラー自体を減らすことにつながるでしょう。

4. 物流自動化における課題

物流自動化は大きなメリットがありますが、導入にはいくつか課題があります。ここでは物流自動化を導入する際に知っておきたい課題についてご紹介します。

4.1 導入・メンテナンス費用がかかる

物流自動化を行うということは、新しくシステムやロボットを導入する必要があるため、導入コストやランニングコスト、メンテナンス費用などがかかります。「どこからどこまでを自動化するのか」「どのような自動化の仕組みを導入するのか」によって、コストも大きく異なります。そのため、導入の際は導入コストだけでなくランニングコストやメンテナンス費用などもしっかりと計算しておく必要があるでしょう。

実際にかかるコストを正確に計算することで、自動化により本当にコスト削減になるのかどうかが明確になります。コスト部分をきちんと計算せず「なんとなく便利そうだから」と導入してしまっては、後に後悔する可能性があります。他社と比較するのではなく、自社が自動化を導入することでどのくらいのコストがかかり、どの程度の効果が期待できるのか、自社の課題は解決できるのかをきちんと理解しておきましょう。

4.2 従業員のリテラシー不足

従業員のリテラシー不足が課題になります。物流自動化をするということは、新しいシステムやロボット、業務フローなどを導入する必要があります。しかし、スタッフへの周知や研修がうまくいかなかった場合、逆に業務が滞ってしまう可能性があるでしょう。

特に現状の業務体制が長く、スタッフに浸透している場合は注意が必要です。ルールやマニュアルが現場で浸透していると、なかなか新しいシステムや業務フローなどが受け入れがたいこともあるでしょう。また慣れるまでに時間がかかる可能性も考えられます。また自動化によって配置転換を余儀なくされるスタッフがいるかもしれません。そうしたスタッフは自動化によって「仕事を追われる」と感じてしまう可能性もあり反発が予想されます。

このような事態に陥らないために、物流自動化の目的を明確にし「どのような点が改善されるのか」「導入によって自社にどんなメリットがあるのか」をきちんと説明する必要があるでしょう。

4.3 運用ルールやマニュアル作成が必要

導入時は、ルールやマニュアルなどをきちんと構築・作成し、スタッフに周知することが大切です。ルールやマニュアルがしっかりと作成されていれば、社内での認識が統一されます。認識が統一されると属人化を防ぐことができ、トラブルの防止につながるでしょう。また、万が一トラブルが起きた際に、対処方法が明確なのでスタッフが動揺せずに済みます。

さらに、新しく入社した社員に説明や研修を行う際、ルールやマニュアルがあれば迅速に対応できるようになるでしょう。ただし、運用ルールやマニュアル作成にも時間とコストがかかります。既存の業務を行いながらの作成となると、一部のスタッフの負担が増えることが予想されます。どのくらいの負担になるのか、作成完了までにどのくらいのリソースを割かなくてはいけないのかという点も、きちんと計算しておきましょう。

4.4 体制構築が必要

物流を自動化するということは新しい体制構築が必要になります。そのため、これまで慣れ親しんだ方法から全く違う新しい体制を構築しなくてはいけません。業務フローの再構築だったり、スタッフの再配置だったりなど大きな見直しが必要になる可能性があります。こうした見直しを通常業務と同時進行で行わなくてはいけないため、大きな負担となるでしょう。このような負担によって、本来の業務に支障が出ては意味がありません。そのため、自社にとって物流自動化は無理なく導入できるものなのか、ある程度のリソースを割いてもメリットのほうが大きいのかなどをきちんと考える必要があるでしょう。

また、物流自動化は導入して終わりではありません。導入後も分析や効果検証を行うことで、より効率的な運用ができるようになります。「作業効率がどのくらい変化したのか」「どのようなメリットが得られたのか」など具体的な効果を実感できるための体制作りも不可欠です。体制構築の際は、このような分析作業も業務フローに組み込めるかどうか検証しましょう。

5. まとめ

物流業界は人材不足や荷物量の増加などさまざまな課題を抱えています。こうした課題を解決する方法として注目されているのが、物流の自動化です。業務をシステムやロボットに任せて自動化することで業務を効率化でき、コスト削減や人材不足への対応などさまざまなメリットを得ることにつながります。

ただし物流自動化のためには、まず自社の課題を明確にする必要があるでしょう。その課題を自動化によって解決できるのか、コストは見合っているのかなども検証する必要があります。費用対効果のバランスを事前に見極めておくことで、導入後に後悔することもなくなります。目先のコストや業務改善などを見るのでなく、中長期的な面で検討するようにしましょう。

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