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物流コンサルティングってどんな仕事?物流会社の成長を支援

製造業や小売業などの物流担当者や経営者の方は、

「今まで取り扱ったことのない商品を仕入れようと考えているが、どのように保管し、各店舗に配送すればよいのか」

「より効率的な物流を実現し、生産性を上げるためにはどうすればよいのか」

などの悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「物流コンサルティング」は、物流に携わる企業が抱える諸課題・悩みの解決に資するソリューションを提供し、成長を支援するサービスです。

本記事では、物流コンサルティングがどのようなサービスなのかを解説し、物流コンサルティングで解決できること、コンサルティング業務の流れ、導入する際に注意すべき点をご紹介します。

1. 物流コンサルティングとは

物流コンサルティングとは、物流に関するさまざまな課題の解決策をクライアントに提案し、実行の手助けをするサービスです。なお、物流コンサルティングのクライアントは主に「荷主(荷物の発送主、出荷元の企業)」および「物流会社(荷物の保管・運送など、物流に関連する業務を扱う企業)」になります。

物流コンサルティングの目的は、物流(在庫や入出庫、配送など)に関係するデータを定量的に分析し、物流コストの見直しや物流センターの設計・運営の手助けなどをして、クライアントの利益を最大化することです。

ただし、数値だけでは見えてこない問題もあります。物流倉庫などで働くスタッフや荷主からヒアリングを実施、数字を眺めているだけでは把握できない問題を抽出し、改善策を提案することも物流コンサルティングの役割です。

社内で調査・分析・議論すれば足りると考えていても、外部からの客観的な視点に晒されてはじめて判明する課題が数多く存在します。豊富なノウハウを有するプロが各種データの分析やヒアリングを行うことで、それまで見えていなかった強みや課題が抽出され、改善の方向性が定まり、最適な物流体制の構築を実現できます。

物流は、さまざまな業界と関係しており、取り扱う商品によって保管方法や配送方法が変わります。そのため、新しい商品を製造して出荷する企業や、これまで取り扱ったことがない商品を取り扱う物流会社は、「どのような保管・配送手段を採用すべきなのか」と悩むことも少なくありません。

1.1 サービス内容

物流コンサルティングのサービス内容は、一般的に以下の3つに大別されます。

①倉庫内オペレーションの課題解決

(スポット的な人材派遣や直接雇用の支援による人手不足解消、自動倉庫の導入による省人化、ECサイトの受注・出荷業務の自動化・作業効率向上など)

②配送管理の課題解決

(配送効率向上、物流トラックのレンタル・リースなど)

③物流不動産の課題解決

(物流不動産の開発・建設・賃貸借・物件管理など)

なお、物流コンサルティング会社は、それぞれ得意分野が異なります。

例えば、アパレル商品を扱っているのであれば、ECサイトで受注した商品を出荷するサービスだけではなく、商品の写真撮影やECサイトへの掲載も支援してくれる物流コンサルティング会社に依頼するほうがよいです。

物流コンサルティング会社を選ぶ際は、自社に必要な領域での実績があるかを、公式サイトや資料請求をしたり、直接説明を受けて確認してみましょう。


2. 物流コンサルティングが解決できること

物流コンサルティングを活用すれば、「現状把握や課題の洗い出し」や「KPI/KGIの設計・見直し」「サービス品質の向上」「体制構築や整理」を実現できます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

2.1 現状把握や課題の洗い出しが出来る

物流のオペレーションを改善するためには、正しく現状を把握することが不可欠です。ただし、社内の視点だけでは、問題点に気がつかないケースもあるでしょう。

物流コンサルティング会社が入って外部の視点で現状を分析すれば、内部からは見えにくい状態に置かれている課題も洗い出せます。

2.2 KPI/KGI設計・見直しが出来る

物流コンサルティングは、KPIやKGIを設計したり、見直したりすることも可能です。

通常は一つのKGIに対して複数のKPIが設定され、目標というものは曖昧になりがちですが、KPIやKGIを設定することで明確化できます。

例えば、「在庫の削減」というKGIに対し、「滞留日数が半年以上の不動在庫を、全在庫の〇%以下にする」「処分金額を〇%減らす」「平均在庫日数を〇日以下にする」といったKPIを設定することで、目標を達成しやすくなるでしょう。

ちなみに、KPIの下に、より具体的なアクションを落とし込んだ「PI(Performance Indicators)」を設定し、3層構造にするケースもあります。例えば、「拠点別に在庫数を把握する」「商品別に安全在庫を設定する」などがPIとして設定されます。

第三者視点で経営全体を見直したい場合には、物流コンサルティング会社にアドバイスしてもらうことがおすすめです。

2.3 サービス品質の向上につながる

物流では、「商品の破損・紛失」「誤出荷」「到着予定時刻に間に合わない」といったトラブルが発生することがあります。内容によっては損害賠償責任を負うケースもあるので、サービス品質を向上させてトラブル発生を未然に防ぎましょう。

物流コンサルティングを利用することで、プロの視点で問題が発生する原因を調査してくれるため、作業内容の改善が可能になり、トラブルが減少します。物流サービスの品質が高まれば、顧客満足度が向上し、受注増にもつながります。

2.4 体制構築や整理が出来る

社内の会議で「物流コストを〇%削減する」といった目標を設定し、「どのような体制を構築すべきなのか」「どのような部分に、整理すべき無駄があるのか」を議論しても結論が出ず、頭を悩ませている経営者や物流担当者も少なくありません。

物流コンサルティング会社は専門的な知見を有しており、自社の状況に適した物流体制の構築を提案してくれたり、既存の体制の問題点を整理して再構築するための方法を提示してくれたりします。「ムリ、ムダ、ムラ」を抑制し、効率化やコスト削減を実現するためには、物流コンサルティングを活用すべきです。

3. 物流コンサルティングの流れ

物流コンサルティングは、一般的に「現状把握」「企画・戦略設計」「施策実行」「分析・改善」という流れで実行されます。以下、各プロセスについて詳しくご説明していきます。

3.1 現状把握

現状を正確に把握しなければ、効果的な施策を講じることは不可能です。

物流コンサルティングでは、最初に「倉庫などの視察」「従業員へのヒアリング」といった調査を実施し、得られたデータを分析します。その後、抱えている課題の抽出・整理を行って報告書にまとめます。

3.2 企画・戦略設計

次に、抱えている課題に対して、どのような施策を講じるべきなのかを検討し、企画・戦略を設計する段階に進みます。

「どこに物流拠点を集約すべきか」「目標とするコストや適正な在庫」「サービスレベル」などを設定したうえで立地候補を選定し、コスト(家賃など)や保管能力、運送方法も検討しなければなりません。

3.3 施策実行

企画・戦略の設計が完了したら、施策・改善案を実行する段階に移ります。これまでの物流コンサルティングで培った経験・ノウハウを活かしながら、用地や施設の購入・賃貸・建設、物流機器の搬入、作業人員の確保などを支援します。

どんなに立派な企画・戦略を練り上げても、実行段階で失敗したら意味がありません。自社のみで実行するよりも、豊富な経験を有する物流コンサルティング会社にアドバイスしてもらうほうがよいでしょう。

3.4 分析・改善

施策は「実行したら、それで終わり」というものではありません。実行後に分析を行って、結果を検証し、改善を加える必要があります。

物流コンサルティングでは、「施策の実行によって、何がどのように良くなったか」を定期的にチェックしたり、PDCAサイクルを回す支援を行ったりします。

4. 物流コンサルティングの導入注意点

物流コンサルティングを導入する際の注意点は、「システムで解決できないか確認する」「予め目的を明確にしておく」の2つです。以下、それぞれについて詳しくご説明していきます。

4.1 システムで解決できないか確認する

物流コンサルティングを活用するためには、一定の費用がかかります。導入する前に一度立ち止まって、「現行システム、既存のIT機器で解決できないか」という点について検討してみるほうがよいでしょう。

例えば、アパレル商品の販売を行っていて、「注文を受けてから顧客に届くまでの時間を短縮したい」という場合、現時点で運用しているシステム(在庫管理システムなど)を活用することで解決できるかもしれません。

4.2 予め目的を明確にしておく

物流コンサルティングを導入する際は、予め目的を明確にしておくことが大切です。目的が不明確なままなんとなく物流コンサルティングを導入すると、「多額の費用をかけたのに、期待した効果を得られなかった」という結果になりかねません。

さまざまな物流コンサルティング会社が存在し、それぞれ得意・不得意があります。事前に「コストを削減する」「品質を向上させる」といった具合に目的を明確化にしておけば、それを得意とする物流コンサルティング会社に依頼できます。

なお、物流コンサルティングを活用して物流の改善を実施する際には、物流部門に丸投げするのではなく、経営層がトップダウンで取り組むことをおすすめします。物流部門は、日々の業務に追われて時間的な余裕がなく、俯瞰的に社内の状況を把握できていない可能性があります。経営層が意思決定を行えば、他の部門(システム部門など)との連携もスムーズにいくでしょう。

5. まとめ

モノをやり取りするビジネスであれば、「物流」が必ず関係します。ネット通販などで一般消費者向けに商品を販売する際にも、企業間で部品や原材料の売買を行う際にも、物流という仕組みは欠かせません。

しかし、企業の物流担当者の中には、「どのように商品を保管したり、輸送したりすればよいのか」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。そのような状況で心強い味方になるサービスが「物流コンサルティング」です。

物流コンサルティングは、豊富な経験・ノウハウを活かし、社内で議論しても結論が出ない課題を解決することができます。物流課題の解決でお困りであれば一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

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