取り組み事例・コラム

お役立ち情報

物流とは?目的や機能などを徹底解説

1. 物流とは

物流とはその名のとおり、「物」の「流れ」を指します。主に企業が製造した商品を別の企業もしくは消費者に届けるすべての過程が物流です。

物流と似た言葉に、「商流」「流通」「ロジスティクス」があります。それぞれについて物流と何が違うのかについて見ていきましょう。

物流と商流の違い

物流とはその名のとおり、「物」の「流れ」を指します。主に企業が製造した商品を別の企業もしくは消費者に届けるすべての過程が物流です。

物流と似た言葉に、「商流」「流通」「ロジスティクス」があります。それぞれについて物流と何が違うのかについて見ていきましょう。

物流と流通の違い

流通とは、物流と商流、2つを合わせたものです。「物の流れ」「代金の流れ」「情報の流れ」など物流と商流のすべてを合わせた消費行動を流通と呼びます。

物流とロジスティクスの違い

ロジスティクスとは、物流の持つ、「調達」「生産」「販売」「回収」といった機能を高度化・統合したものです。商品の需要と供給バランスを取り、顧客満足度向上を目的とした経営管理で、物流はその中の一部となります。

1.1 物流の目的とは

物は製造しただけでは消費者の手元に届きません。製造した場所から消費者の手元まで、その時間と空間の隔たりを埋める必要があります。物流の持つ最大の目的は、商品を購入した消費者に時間と空間の隔たりを埋め、物を届けることです。

1.2 物流が必要な理由

経済活動を行っていくうえで流通はその基盤となるものです。また、その流通を実現する要素の一つが物流です。代金の収受があっても物が届かなければ流通は完結しません。また、企業に資材や部品が届かなければ、そもそも商品を製造することさえできないでしょう。そのような意味で物流は、経済活動を行っていくために必要不可欠なものといえます。

2. 物流には5つの領域がある

ひと口に物流といってもその種類は多様で大きく「調達」「生産」「販売」「回収」「リサイクル」の5領域に分けられます。ここではそれぞれの概要について解説します。

2.1 調達物流

調達物流とは、生産物流の手前の段階で、商品製造に欠かせない資材や部品をサプライヤーから工場へ移送する際の物の流れを指すものです。生産物流と販売物流の連係も重要ですが、生産管理を徹底するためには、調達物流との連携も欠かせません。

「調達・生産・販売」この流れを人間の循環器になぞらえて「動脈物流」とも呼びますが、それぞれの物流の連係が商品の製造販売を円滑に進めるポイントといえるでしょう。

また、調達物流で気をつけなければならないことがBCP(Business Continuity Plan)です。地震や台風、火災などによりサプライヤーが被害を受けてしまった際、別途サプライヤーを確保しておかないと資材や部品の調達が滞り、商品の製造販売が行えなくなります。万が一に備えたサプライヤーの管理も調達物流を適切に行うポイントの一つです。

2.2 生産物流

生産物流とは「社内」「支社」「工場」「倉庫」など自社の範囲内での物流を指すものです。

・サプライヤーから調達した資材や部品で製造した商品を工場から倉庫へ移送する

・倉庫に保管した商品を全国の支社に移送する

・支社間で商品の移送をする

など、社内間でのあらゆる物流を生産物流と呼びます。

生産物流は単純に工場から倉庫、倉庫から本社や支社に物を移送するだけではありません。

工場の生産能力や倉庫の収容能力など、管理ができていないことで供給不足、収容オーバー、配送車両不足といったリスクを抱えてしまいます。これらを管理・調整をしながら物流を行うことが生産物流のポイントです。

2.3 販売物流

販売物流は工場や支社から、販売予定の商品を消費者に届けるための物流を指すものです。倉庫から全国の販売店、支社から地域の販売店に商品を運びます。また電子商取引市場の拡大もあり、販売店を通さずに直接、倉庫から消費者へ届けるケースも増加していますが、これも販売物流の一つです。

販売物流を円滑に行うために欠かせないのが生産物流の管理です。生産物流の管理が徹底できていないと、需要と供給のギャップが生まれ必要な人へ必要な数を必要なタイミングで届けられません。そのため、常に生産物流の管理者と連携を取り、消費者の需要を予測しながら販売物流を稼働させる必要があるでしょう。

2.4 回収物流

物流は消費者に商品を届ければ終わりではありません。例えば、「商品に不良品が混ざっていたとき」「販売店で売れ残ってしまい返品になったとき」など、その商品を回収する必要があります。これが回収物流です。ほかにも商品の包装、容器、段ボールなどを引き取ることも回収物流と呼びます。

2.5 リサイクル物流

リサイクル物流も回収物流同様、商品を届けた後の物流ですが、回収物流と異なる点はリサイクルを目的とした回収である点です。代表的な例としては、空き缶やペットボトル、新聞紙や雑誌などの古紙、プリンターのインクジェットカートリッジなどが挙げられます。

「生産」「販売」「調達」の3つを「動脈物流」と呼ぶと紹介しましたが、「回収」「リサイクル」は「静脈物流」と呼ばれています。以前は動脈物流が重視されていましたが、近年、環境保護、SDGsの観点から資源の有効活用が重要視されるようになりました。その結果、静脈物流も企業の経済活動のなかで欠かせない要素の一つになっています。

物流が果たす6つの機能

これまで何度か説明してきたように、物流は単純に「物を運ぶ」ことだけを指すものではなく、企業が経済活動を行うためのさまざまな機能を果たしています。そこで、ここでは物流の代表的な機能である「配送・輸送」「保管・管理」「荷役」「包装・梱包」「流通加工」「情報処理」をご紹介します。

3.1 配送・輸送

一般的に物流といえば「配送・輸送」を最初に思い浮かべるでしょう。商品や資材、部品などを必要な人のもとへ物理的に移動させる機能です。

配送・輸送方法は届けるモノや相手によって異なります。例えば、生鮮食品を届ける場合、冷凍もしくは冷蔵機能を持ったトラックを使い、迅速に届けなければなりません。海外へ商品を届けるには船舶や飛行機が妥当でしょう。もちろん例外もありますが、その都度、適切な方法、適切な手段を持って最高の状態で商品を届けるための選択が重要です。

3.2 保管・管理

商品の保管・管理も物流機能の一つです。倉庫での保管や工場での製造管理の徹底がなければその後の円滑な配送・輸送も実現しないでしょう。

例えば、商品の製造スケジュールに応じて倉庫で部品を保管・管理をしたり、完成した新商品を発売スケジュールに合わせて物流センターで保管・管理したり、などが挙げられます。常に先々を予測し、スケジュールを立てそれに合わせた保管・管理が物流において重要な機能となるのです。

3.3 荷役

荷役とは、資材や部品を工場へ、完成した商品を工場から倉庫や物流センターや販売店に送る際に輸送車両に積み込む作業です。

また広義では、

・輸送車両からの積み下ろし

・倉庫・物流センターでの荷揃え

・棚入れ

・仕分け

・発送時のピッキング作業

などもすべて荷役に含まれます。さらに商品を海外へ発送するもしくは輸入する場合の通関手続きも荷役作業の一つです。

包装・梱包

入庫から出庫の一連の流れの中で、完成した商品はそのままではなく包装・梱包した状態で配送・輸送されます。包装・梱包をすることで、商品を傷つけないようにするのに加え、トラックや鉄道、飛行機などに積み込みやすくなるからです。そのような意味で包装・梱包も物流の重要な機能といえるでしょう。

包装・梱包の方法は商品によって異なりますが、一つ一つ個別に包装する個装や、ガラス製品や精密機器など商品それぞれの特性に合わせた容器で包装する内装があります。そして、個装したものや小物を段ボール、缶などにまとめて梱包する外装などがあります。

流通加工

包装・梱包された商品をすぐに販売できる状態にする作業を指すものです。

具体的には、

・値札を貼る

・ギフト用のパッケージングをする

・ラベルを貼り替える

・衣料品の検針をする

などが挙げられます。流通加工を行うことで、初めて消費者のもとへ届けられる商品の完成です。

3.4 情報処理

倉庫や物流センターで行う「在庫管理」「販売管理」「配車計画」などです。いつ何がどれだけ売れたのか、発送した商品は今どこにあるのかなどを一括管理し、生産調整を行います。在庫・販売管理の徹底がないと在庫ロスや供給過剰といった無駄が生まれやすくなるため、物流機能の中でも、情報処理は利益向上の実現に欠かせない機能です。

またシステムを活用し、一括管理を行うことで、倉庫・物流センターでの業務効率化にも大きく貢献します。

4. 物流業界ではDXやIoT化が急がれる

少子高齢化の影響もあり、多くの業種で人材不足が慢性化。物流業界も例にもれず人材不足は大きな課題の一つで、その理由としては低賃金・長時間労働が挙げられます。例えば、国土交通省が発表している「トラック運送業の現状について」を見ると平成28年の段階で、平均年間所得額490万円に対し、大型トラックドライバーは447万円。中型は399万円です。

そして、平均年間労働時間は2,124時間に対し、大型トラックドライバーは2,604時間。中型は2,484時間となっています。また、人材不足となる原因はドライバーだけではなく、電子商取引(EC)の取り扱い増加に伴い倉庫・物流センターでの業務はこれまで以上に長時間労働が常態化しています。

さらに、倉庫・物流センターでの業務をより過酷にしているのが「送料無料サービス」「当日・翌日届サービス」の増加です。電子商取引の取り扱い増加で各店舗の競争が激しくなり、これらサービスを実施することで、物流にかかる負担は年々大きくなっています。物流業務の多くがアナログ作業であることから大きな負担を抱えてしまうのです。

「少子高齢化や賃金・長時間労働による人材不足」「電子商取引の取り扱い拡大による業務量の増加」「進まない業務のデジタル化」などの理由により、物流業界で働く人材にかかる負担はかつてないほどに大きくなっています。この問題を解決し、業務効率化、生産性向上を実現するために必要なのが、物流DX、IoT化の実現です。

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、「IT活用によって商品、サービスはもとよりビジネスモデルの変革を行い、競争優位性を保つための施策」を指します。DXを進めていくことで、業務効率化につながり、人材不足の解消や社員にかかる負担の軽減も実現するのです。

物流業界におけるDXとは具体的に「商品管理のデジタル化」「倉庫管理システムの導入」「AI活用による配送ルートの最適化・ドライバーの勤務管理」などが挙げられます。また、業務効率化をさらに推し進めるには、一社だけではなく複数社での協力体制を敷くことも効果的です。同地域の企業が協力し合い、物流業務を統一させれば効率化の効果もさらに高められるでしょう。

5. まとめ

企業が経済活動を行ううえで欠かせない流通と、その流通を支えるのが物流です。単純に荷物を右から左へ運ぶだけではなく「保管・管理」「包装・梱包」「情報処理」などさまざまな役割を果たしています。

しかし、いくつかの理由により物流業界は多くの課題を抱え円滑な流通の実現が困難となっています。これを解消するために必須なのが物流DXです。物流の目的や機能を改めて見直し、課題解消を進めていきましょう。

ページの
先頭へ