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EC物流とは?市場や課題を理解し最適化を図ろう

EC需要の高まりに伴い、「EC物流」にも注目が集まっています。注文数増加や即日発送サービスの影響から、企業側は物流業務の効率化を求められています。

本記事では、EC物流の概要や市場規模、今後の動向や課題などを紹介します。

1. EC物流とは

EC物流とは、EC事業に関わる物流全体のことを指す言葉です。物流業務を自社で全て運用している企業もありますが、アウトソーシングする企業も増加しています。

EC物流の主な業務は、入庫作業、検品作業、棚入れ・保管作業、ピッキング作業、梱包・出庫作業、返品対応などが挙げられます。

1.1 EC物流の特徴

配送先は増えるが、1件あたりの数量は少ない

ECはBtoC向けの取引が多いため、配送先は多いですが1件当たりの数量が少ない点が特徴です。

BtoB向けの取引では、ある程度まとまった数の商品を同じ取引先に送ります。一方でBtoCは一般顧客向けであるため配送先も多くなるので、ECに特化した倉庫管理システムが必要になるでしょう。

ギフトラッピングや同梱物の必要性

EC物流では、ギフトラッピングや同梱物等の対応が必要になる場合があります。ECサイトを利用するユーザーの中には、プレゼント用として商品を購入する人も多いでしょう。

そうしたユーザーのニーズに応えるため、ギフトラッピングやクリスマスなどのシーズンに合わせた包装サービスの準備などが必要になります。さらに、メッセージカードやのしの対応なども必要に応じて検討しなければなりません。

梱包作業も人手と経験が必要な作業であるため、作業を迅速に終わらせるために、適切な緩衝材や包装材の導入なども考える必要があります。

ブランドを意識した梱包資材を利用する企業もある

数多くある競合他社に打ち勝つため、ブランドを意識した梱包資材を利用する企業も増えています。注文した商品を取り出す瞬間は、ユーザーにとって特別な瞬間です。そこで、自社ブランドの包装資材を取り入れることで、顧客に強い印象を残すことができるでしょう。

また包装資材だけでなく、ショップのロゴが入った段ボールやショップ独自のシールを採用する事業者も増えています。自社ブランドを意識した包装資材を用いることで、注文時から荷物が届くまで一貫してブランドイメージを保つ効果が期待できるでしょう。

注目されるフルフィルメント

また近年、フルフィルメントも注目されています。フルフィルメントとは、ECで商品を注文してからユーザーに届くまでの業務全般を指します。

業務を細分化すると「入荷、検品」「商品保管」「受注処理」「ピッキング」「検品」「梱包」「発送」などの業務が含まれます。この一連の業務を引き受けるフルフィルメントサービスを提供している企業もあります。

2. EC物流の市場規模と動向

EC物流の市場規模は年々増加しています。さらに、コロナ禍によって一般ユーザーによる利用が増え、小口配送が増加しました。ここでは、EC物流の市場規模と近年の動向について紹介します。

2.1 EC物流における市場規模

経済産業省が発表した「BtoC-EC市場規模の経年推移」によると、令和2年の日本国内のBtoC-ECの市場規模は約19.3兆円となっています。新型コロナウイルス感染症拡大の対策としてEC利用が推奨されており、大幅な市場規模拡大につながったとされています。

一方で、令和2年の国内のBtoB-ECの市場規模は約334.9兆円で、前年と比較して約5.1%減少しました。物販系分野は大幅に伸長したものの、旅行サービスやチケット販売などのサービス系分野が大きく縮小したためです。

EC化率はBtoC-ECで8.08%と前年比1.32%増加、BtoB-ECで33.5%と前年比1.8%増加になっています。いずれも増加傾向にあり、商取引の電子化が進展していることが分かります。

今後も市場規模は拡大していくことが予想されており、それに伴って大規模な物流センターも建設されるといわれています。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

経済産業省の「BtoC-EC市場規模の経年推移」によると、新型コロナウイルスの感染症拡大の対策としてEC利用が推奨された結果、物販系の大幅な市場拡大につながったとされます。BtoC-EC市場規模の内訳は以下のようになっています。

生活家電・AV機器・PC・周辺機器など2兆3,489億円
衣類・服装雑貨など2兆2,203億円
食品、飲料、酒類2兆2,086億円
生活雑貨、家具、インテリア2兆1,322億円

上記カテゴリーは、物販系分野において約73%を占めています。さらに、全体的にEC化率が高いという結果になっています。「書籍、映像・音楽ソフト(42.97%)」が一番EC化率が高く、次いで「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等(37.45%)」、「生活雑貨、家具、インテリア(26.03%)」が続きます。

「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」は製品の仕様がネットで調べやすく、事前に製品の特徴を理解しやすいため、EC化しやすいとされています。また、家具やインテリアなども、ECとの相性が良いといわれています。実際の店舗では売り場面積などの制約もあり、全てのサイズやカラーを展示することは難しいでしょう。しかしECであれば、サイト上で好きなサイズやカラーを探しやすいことから需要が今後も増加すると考えられます。

出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

3. EC物流での課題

近年の市場拡大により、EC物流には課題が生じています。ここではEC物流において顕在化しやすい課題について紹介します。

3.1 注文~発送までの対応スピード

注文を受けてもスピーディーに商品を届けられないと、ユーザーの熱が冷めてしまう可能性があります。また、競合他社と比較して対応スピードが遅いと、乗り換えられてしまう場合もあるでしょう。

EC物流にはさまざまな工程があり、それぞれ正確さや丁寧さが求められます。注文数の増加に伴い作業量も増えると、作業負担が大きくなり対応スピードの低下につながってしまうでしょう。

特に梱包作業や発送作業は工程数が多いため、人員やシステムが適切に配置されていないと、発送の遅れにつながってしまいます。さらに、スピード感だけを追い求めると作業ミスや配送ミスが起こってしまう可能性もあるでしょう。

そのため、注文の確認から発送までの対応は、正確かつスピード感を持つことが大切とされています。

3.2 配送業者の料金改定

EC業界の伸長に伴い荷物の個数が増加したため、配達するドライバーが不足してきています。そのため、企業やユーザーが望むEC物流を維持することが困難な時代になってきました。

少しでも現在の宅配網を維持するために、配送業者は料金を値上げするしかないのが現状です。配送業者の料金改定は送料の値上げにつながるため、EC事業者はどのように値上げに対応していくかを考えなくてはいけません。

3.3 在庫管理が複雑

キャッシュフローに直接関わる在庫管理は経営に大きく影響してきます。また、ユーザーとトラブルになってしまう可能性もあるでしょう。

例えば、在庫がないのに注文を受けてしまったり、あるはずの在庫をなかなか見つけられず発送が遅れたりするなどです。こうしたトラブルは発送業務に影響を及ぼすだけでなく、サイトの評判に関わります。

フロントとバックヤードのずれが生じないよう、在庫管理を行う必要があり、場合によってはデジタル化を進めていかなければなりません。

3.4 スぺース不足

企業によっては急激に増加したEC需要によって、スペース不足に陥っているケースもあります。増加した需要に対応すべく、自社で保管用のスペースを確保しようとすると、莫大なコストがかかります。大企業であれば対応も可能かもしれませんが、中小企業ではなかなか難しい場合も多いでしょう。コストの問題でスペースが確保できない場合、EC事業を拡大させたくてもできません。

さらに、需要拡大に合わせて商品ラインナップを充実させたいケースもあります。しかし、取り扱う商品を増やせば、それだけスペースも必要になります。

4. EC物流を最適化するために必要な事

EC物流を最適化するためには、さまざまなプロセスやシステムの見直しが重要とされています。ここでは、EC物流を最適化するために行いたいことを紹介します。

4.1 現状把握と業務プロセスの見直し&改善

EC物流に関する課題を解決するには、まず現状を把握する必要があるでしょう。自社にとって何が問題となっているのかを正確に把握することで、解決方法も明確にできます。

また、業務プロセスの見直しも行いましょう。現在どのようなプロセスを行っているのかを一通り洗い出し、改善できるポイントがないか検討します。

今までは当たり前のように行っていた業務も、注文数が増えたことにより適切ではないプロセスになっている可能性があります。

現場のスタッフに話を聞くことも大切

現状把握と業務プロセスの見直しと改善を行う際には、現場のスタッフにしっかり話を聞きましょう。経営陣だけで改善策を決めてしまっては、現場の作業に則していない対策になる可能性があります。

現場のスタッフに作業しにくい点や改善してほしい点などの意見を募れば、さらにプロセスの改善を行いやすくなるでしょう。

コストを可視化出来れば改善につながる

EC物流を含めたEC事業の改善を行うには、物流指標の可視化や社内共有も必要とされています。

例えば、EC物流に関するコストを「固定費」と「変動費」に分けて可視化すれば、売上高や粗利のうち、どの程度の割合を変動費が占めているかが把握しやすくなるでしょう。

数値を可視化して社内共有を行うことで、企業全体の利益につながる共通指標を全社員で共有することができます。

4.2 物流システムを導入する

拡大するEC物流に対応するためには、物流システムの導入も効果的とされています。物流システムとは、輸送、保管、荷役、包装、流通加工などの物流に関する一連の工程を管理するシステムです。

取引業者や生産拠点、工場倉庫、物流拠点、納入場所などを一元管理でき、効率的な物流業務を行えます。システムを導入する際には今までの業務フローが大きく変化する可能性があるため、導入時だけでなく運用開始後にもサポートしてくれる企業に依頼することが大切です。

また、「自社の課題や悩みは何か」「物流システムによって何が解決するのか」を確認したうえで、導入を検討する必要があるでしょう。

4.3 物流アウトソーシングを活用する

全てを自社で対応することが難しい場合は、物流アウトソーシングを利用する方法もあります。物流アウトソーシングとは、物流機能を外部に委託することです。

物流アウトソーシングを利用することで、「在庫量が増えスペースが不足してきた」「物流業務に回す人手が足りない」といった問題を解決できるでしょう。

さらに、物流業務に関わる人件費や管理費などのコスト削減にもつながります。複雑化しつつある物流業務を外部に委託できれば、本来の業務に集中することができるでしょう。

5. まとめ

EC物流は今後も市場が拡大することが予想されています。市場拡大は利益の増加のみならず、対応スピードや在庫管理の複雑さなどの課題も顕在化させました。

そのため、企業側もそれに対応した業務プロセスの見直しや改善が求められるでしょう。課題解決のためには物流システムや物流アウトソーシングを導入することで改善が見込めます。自社の状況に応じて解決策を見出してみましょう。


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